About Toyo University 【特集】2023.7Alumni Report(阪神タイガース 投手 村上頌樹さん)

Alumni Report 

大ブレイク・虎の新星

2021年に本学硬式野球部から阪神タイガースへと入団した村上頌樹選手が今シーズン大活躍を遂げています。プロ入り直後からファーム( 2軍)で最優秀防御率と最高勝率のタイトルを2年続けて獲得していましたが、1軍での登板機会になかなか恵まれていませんでした。しかし、今年は4月12日の巨人戦にて2シーズンぶりとなる1軍の先発マウンドへ。その試合で7回まで一人の走者も許さない完全試合を続け後続に託し、大きな話題となりました。その後も好投は続き、開幕から31イニング連続無失点を記録し、セ・リーグの歴代記録に60年ぶりに並ぶという歴史的な記録を達成。野球界の話題の中心となっている村上選手にお話を伺いました。

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阪神タイガース投手

村上 頌樹 むらかみしょうき

Profile

2021年、総合情報学部総合情報学科卒業。兵庫県出身。小学校1年生から野球を始め、名門・智辯学園高校へ進学。1年生の頃から実力を発揮し、3度甲子園へ出場。高校3年時の春の甲子園ではエースとして投打で活躍しチームを優勝に導いた。東洋大学進学後、3年次の春、東都リーグでの対亜細亜大学戦にて9回2 死までパーフェクトピッチングを続け勝利に貢献。圧巻の結果を残し同年に投手3冠、ベストナインを獲得。2020年のドラフト会議にて阪神タイガースから5位指名を受け、プロ野球の世界へ。

20201026-ドラフト指名時2

20201104-駒沢大学戦試合前

阪神タイガースからのドラフト5位指名時 試合前にチームの仲間たちと(上左から2番目)

プロ入りへの意識が高まった大学時代。

実は私が高校生の頃、最初に声をかけてくれたのは東洋大学だったんです。智辯学園高校の3年生だった時、春の甲子園大会でエースとして全試合を投げ、チームを優勝させることができましたが、それよりもっと前の時期から目をかけてくれていました。高校野球部の監督からも「お前が活躍する前から気にかけてくれていた大学だから、きちんと面倒を見てくれるはずだ。そういう場所の方が実力は伸びる」と仰っていただき、いくつか声をかけていただいた中から東洋大学へ進学を決めました。
大学に入学してからは本当に野球漬けの毎日だったと思います。授業が終われば練習に行き、寮に戻れば仲間たちと一緒に野球について語ったり、ゲームをしたり……、チームの仲間たちと毎日多くの時間を共に過ごしたことで自然と仲間意識も高まりました。コミュニケーションも取りやすくなり、野球を楽しむ雰囲気がありました。東洋大学での大学生活を通じて、人間性を身につけ、「社会に出ても大丈夫」という自信を持つことができました。
大学3年次に東都大学野球春季リーグで優勝したことは今でも印象に残っています。上級生になりチームを引っ張っていく責任感も出てきたなかで、「優勝」という形でチームに貢献できたことは大きな自信になりました。「プロ野球選手になる」という夢は子どものときからずっと思い描いていたことでしたが、この頃から現実的な目標として捉えるようになりましたね。

小さな身体に大きな夢をのせて。

私は身長が175cmとプロ野球の世界では決して高くはありません。球速もずば抜けている訳でもない中で屈強な打者を抑えていくために、磨き上げた武器がコントロールです。どんな時も各球種をコースから外れないように投げることで、投手が有利な状況をテンポよく作っていくこと。相手の打者を惑わすような投球術が生命線になっています。高校生までは負けたら終わりというトーナメント形式の試合なので1球1球を全力で投げていました。しかし大学では春と秋のリーグ戦になります。長期間にわたり戦うためにも、試合中に力をセーブしながら投げることも必要になってきます。そのタイミングの計り方や、力をセーブしたまま抑える投球の組み立て方、1年間を通した身体の使い方を覚えたことが、今の野球スタイルに繋がっていると思います。
プロの世界で戦ううえで大切にしていることは「切り替え」です。もちろん負けたり、打たれたりすれば落ち込むこともあります。しかし、次の日まで落ち込んでいたら周りにも迷惑をかけてしまうので、すぐに思考を切り替え、次の試合のこと以外は考えないようにしています。負けの思考が続くとダメな自分に飲み込まれるような世界です。多くの先輩方から1年を通したシーズンの過ごし方や考え方を教えてもらいながら、試行錯誤する日々ですね。
今シーズンは二桁勝利を目標に、まずは目の前の試合に臨んでいきます。その積み重ねとして、何十年も現役でプレーし、人々から愛される息の長い選手になることが野球人としての夢です。スポーツに限らず、勉学や趣味の世界でもコツコツと続けていくことが大きな成果に繋がると考えています。どんな小さなことでもよいので、取り組み続けてほしいです。