About Toyo University 【特集】2021.3Alumni Report服部勇馬さん(トヨタ自動車株式会社 陸上長距離部)・相澤晃さん(旭化成株式会社 陸上部)

Alumni Report 

大学時代からの目標だったオリンピック出場内定を得た今、さらなるレベルアップを目指す

pickup202103_1

トヨタ自動車株式会社 陸上長距離部

服部 勇馬 はっとり ゆうま

Profile

2016年、経済学部経済学科卒業。本学陸上競技部在籍中は、大学三大駅伝で5度の区間賞を獲得し、4年時には主将を務めた。現在はトヨタ自動車株式会社 陸上長距離部に所属。2019年9月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)では、2位となり東京オリンピック出場権を獲得した。マラソン最高記録2:07:27(日本歴代14位)。

pickup202103_2

旭化成株式会社 陸上部

相澤 晃 あいざわ あきら

Profile

2020年、経済学部経済学科卒業。本学陸上競技部4年時には主将を務め、大学三大駅伝全てで区間新記録を樹立し、金栗四三杯を受賞。現在は旭化成株式会社 陸上部に所属。2020年12月に行われた日本陸上競技選手権大会 男子10,000mでは日本新記録(27:18.75)で優勝を果たし、東京オリンピック出場権を獲得した。

東京オリンピック出場内定を勝ち取って

服部:東京オリンピック、男子1万mの内定おめでとうございます!
相澤:ありがとうございます! 去年一番の目標だったので達成できてうれしいです。
服部:今年度は社会人1年目で、しかも新型コロナウイルスの影響もあって練習するのが大変だったと思うけど、軌道に乗ってきたのはいつから?
相澤:夏ごろからです。大学の時は駅伝を目指しての練習でしたが、去年はトラック中心の練習に切り替えました。チームメイトも実力者ぞろいなので普段からレベルの高い練習を積むことができました。11月に1万m27分台を出し自信がついて、そのまま日本選手権に臨み、日本新記録で内定を勝ち取ることができました。
服部:レース前から勝てると思ってた?
相澤:ベストを尽くせればという感じです。8,000mまでいかに粘れるかが勝負だと思っていましたが、序盤のキツイところをうまく粘り、最後まで集中して走ることができた会心のレースでした。
服部:(27分)18秒はすごい記録。スピードを強化したの?
相澤:はい。トラックでのスピード練習に取り組み、速いペースへの恐怖心がなくなったのが大きかったです。勇馬さんも去年、同僚のカロキ選手とスピード練習をされていましたよね?カロキ選手が「最初から速いペースでやらないと」と勇馬さんを激励されているのを見て、その通りだなと思いました。
服部:かなりキツかったけど、そのおかげで僕もマラソンに対応できるスピードが身についたと思う。あとはスタミナ面に重きをおいて、ケガしないよう練習ボリュームを考えながら、本番までトレーニングしていくつもり。
相澤:少し前の話になりますが…、やっぱりMGCは特別なレースでしたか?
服部:自分にとっては、この結果で人生が変わるレースだと思ってた。妥協せずにしっかりと練習をしてきたからこそ絶対に2位までに入ると強い気持ちを持って挑んだよ。
相澤:終盤の大迫選手との競り合いは見ていて興奮しました。
服部:先行していた大迫さんと並んだ時に、彼が振り向いたのを見て、おそらく苦しい合図だと。そこから強気になれて、一気に攻めることができた。
相澤:結果はオリンピック内定。改めておめでとうございます。
服部:ゴールした時はうれしいというより安堵の気持ちが大きかったかな。でも数日後に優勝できなかった悔しさが出てきて。今もまだ悔しいよ。

大学時代から世界を意識東洋大学を背負って戦う

相澤:勇馬さんは大学時代からマラソン転向とオリンピック出場を公言していましたよね。
服部:うん。特に酒井監督から世界に目を向けるよう指導いただいたのは大きかったと思う。周りに別種目だけどオリンピック出場者もいたしね。社会人になって苦労した時には、酒井監督に相談に乗っていただいたり。MGCの結果を報告した時も「ここからが勝負」と発破をかけられた。声はうれしそうだったけど(笑)。相澤も大学時代から世界を意識していた?
相澤:はい。僕も酒井監督から「先を見据えたレースをしなさい」とずっと言ってもらっていて。今回も「今回の結果がゴールじゃない、オリンピックで結果を出して、またそれを最大の目標であるマラソンにつなげていこう」と言われて、酒井監督らしいなと思いました。
服部:それと、やっぱり東洋大学の陸上競技部長距離部門といえば「その1秒をけずりだせ」。この言葉が心に刻まれているのは大きいよね。
相澤:僕にとっても大切な言葉です。
服部:レース終盤に頑張れるのは、学生時代からこの言葉を胸に頑張ってきたおかげ。走っていて一番つらい時に走馬灯のようによみがえってきて「大丈夫だ!」と自信をくれる。そして「もっと攻められる!」と奮い立たせてくれる。
相澤:日本選手権の時も、文字通り1秒でもけずりだしてゴールしようと思えたからこそ、標準記録を10秒近く上回ることができました。この言葉には日々の1秒を大切にしよう、という意味もあると思います。本番まで約半年ですが、1時間、1分、1秒を大切に過ごしていきたいと思います。
服部:日本代表である前に、東洋大学代表でもあるので、内定を勝ち取れたのはひとつの恩返しになったと思う。でもこれで終わりじゃない。本番でもお世話になった皆さんに、感動してもらえるような走りがしたいね。

目標が定まると毎日が意味のある時間になる

服部:東洋大学で学んでいる後輩たちに伝えたいことは?
相澤:今は新型コロナウイルスの影響でやりたくても思うようにできないことがあると思います。僕もそうです。でも僕が大学4年の時にオリンピック出場という目標を決めたように、未来の目標を定めること自体は、今の状況でもできると思います。目標が決まれば、今はむしろ時間があるわけだから、しっかりと準備の時間に充てられると思います。
服部:確かに。
相澤:逆に目標がなければ、たとえ新型コロナウイルスが収束しても、そのままダラダラと時間を費やすことになってしまう。つまり今は人生をどのように過ごすかを考える“分岐点” なんじゃないかと思います。
服部:学生時代に過ごした時間は、人生の糧であり財産になると僕も思う。大学に行けなかったり、友達と会えなかったり悔しい時間が多いと思うけど、悪いことばかり考えず、自分の未来をみつめてほしいし、少しでもポジティブな時間をつくって、日々の行動を選択しながら有意義に過ごしてほしいと思います。