Progress 未来へはばたく在学生 情報連携学部 情報連携学科2年 浅野 凌輔×髙橋 侑大

Progress 未来へはばたく在学生
誰も見たことのないコンピュータプラットフォーム「Floorp」の開発を前に進めるためには、 信頼できる仲間と連携がどうしても必要だった。

情報連携学部の浅野凌輔さん、髙橋侑大さんが立ち上げたプロジェクト「OSとWebブラウザを統合したローカルLLM支援型オペレーティングプラットフォームの開発」が、優秀なデジタル人材を支援育成する「2025年度 未踏IT人材発掘・育成事業」に採択されました。学業の傍ら、Webブラウザ「Floorp」を開発する二人に、IT分野への関心やチーム連携について伺います。

浅野さんと髙橋さん メインビジュアル
Profile
情報連携学部情報連携学科2年
髙橋 侑大ゆうたさん

大学1年時、浅野さんの誘いでFloorpの開発チームに参加。システム全体の設計や管理機能の開発を担当し、技術だけでなくコンピュータの歴史や発展の背景など幅広い分野に関心を持っている。

Profile
情報連携学部情報連携学科2年
浅野 凌輔りょうすけさん

高校時代にWebブラウザ「Floorp」をリリースし、継続的に改良を重ねてきた。未踏IT人材発掘・育成事業には3度目の挑戦で採択された。

column1
「未踏IT人材発掘・育成事業 採択プロジェクト」とは?

誰も見たことがないものをカタチにしたい!という熱い思いと、尖った発想と技術を持つ突出した人材(25歳未満)を発掘し、大きく伸ばすことを目的とした、 IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が主催する国家プロジェクト。 採択された個人やチームは専門家によるサポートや、プロジェクト推進費用の支援などが受けられる。毎年公募が行われ、2025年度は227件の応募のなかから21件が採択された。

column2
OSとWebブラウザを統合したローカルLLM活用型プラットフォーム開発

Webブラウザとパソコンやスマホの基本システム(OS)を統合し、AIの力で作業の自動化や効率化を目指すのが浅野さんのチームだ。現在のAIサービスは、Web上で完結するものか、特定のOSに依存するものが主流である。一方、開発中のプラットフォーム「Floorp OS」は、ブラウザを中心に据えることで、Webアプリとローカルアプリの双方をAIが横断的に操作できる点が特徴。Webとローカルの境界を越えた、シームレスな利用体験を実現する。

独学で作ったWebブラウザ「Floorp」が起点となって、すべてがはじまった。
――
まずは、お二人がIT分野に興味をもつようになったきっかけを教えてください。
髙橋
コンピュータに興味をもったのは、小学生の頃に祖父からパソコンをもらったことがきっかけです。遊びながら設定を変えたり試行錯誤したりするうちに、操作そのものが楽しくなりました。高校入学後は自然とプログラミングにも挑戦するようになっていました。
浅野
私は髙橋さんとは違い、最初は文系寄りで、日本史が好きな高校生でした。IT分野に強い関心があったわけではありませんが、「これからの時代はプログラミングができないと厳しい」と聞き、独学で学び始めました。その流れで挑戦したのがWebブラウザ開発で、当時作った「Floorp」が、今回未踏ITに採択されたプロジェクトの原点です。
――
未経験からブラウザ開発とは大胆ですね。なぜブラウザだったのでしょうか?
浅野
初めてブラウザを使ったときの衝撃が大きかったんです。分からない言葉はすぐ調べられるし、世界中の情報や人にアクセスできる。翻訳機能を使えば海外ともつながれる。「こんなすごいものがあるのか」と感動して、自分でも作ってみたいと思いました。今思えば無謀でしたが(笑)、その純粋な驚きが原動力でした。
――
高校時代から開発に取り組んでいたお二人が、情報連携学部への進学を考えた理由を教えてください。
浅野
私はプログラミングには理系的な知識だけでなく、プレゼンテーションやデザイン、コミュニケーション力も必要だと感じていました。文・芸・理を横断する学びができる情報連携学部は、自分の考えに合っていると思いました。
髙橋
私も、将来チームで開発するなら対人スキルは不可欠だと考えました。技術だけに偏らない学びができる点に魅力を感じ、進学を決めました。
仲間がいるから、挑戦は現実になる。
――
未踏ITに採択されたプロジェクトは、3人での提案だったそうですね。
浅野
大学1年の時に私から髙橋さんを誘い、その後、髙橋さんが高校時代の友人で、他大学に所属する鮎澤さんを紹介してくれました。私が髙橋さんを誘ったのは、「この人なら学業と未踏ITのプロジェクトをちゃんと両立できそうだ」と思ったからです。情報連携学部の勉強はかなりハードなので、ある程度の余力がないと他のことにチャレンジするのはおそらく難しいと思います。その点、髙橋さんは複雑なプログラミングを平気で組み立てる優秀な人だったので、安心できたのです。
髙橋
いやいや、成績はさておき(苦笑)。声をかけてもらったのはうれしかったです。浅野さんが高校時代にリリースしたブラウザはすでにネットの世界では有名だったし、知り合う前の浅野さんは私にとっては大谷翔平みたいなキラキラした存在でしたからね。
――
お二人はそれぞれどんな仕事を担当しているのでしょう?
髙橋
私はシステム全体の設計を主に担当しています。建築でいうとコンクリートの土台を作っているような役割でしょうか。
浅野
髙橋さんが設計したシステムの上で動く、さまざまな機能やアイテム作りを担当しています。建築に例えるなら土台の上にフレームを立てて、そこに座り心地のいいソファーを置く仕事といったところでしょうか。ソファーの品質が悪い場合は新しいものに差し替え可能ですが、土台は一度作ってしまうと簡単には取り替えられません。そういう意味でも土台づくりを担当している髙橋さんの役割は大きいと思います。
髙橋
3人のうち誰が欠けても成立しないのがこのプロジェクトです。お互いに足りない部分を補い合う「補完関係」にあるといえるかもしれません。
浅野
技術的な面だけでなく性格の面でもそうですね。私は勢い型で、髙橋さんは計画型。相性としてはかなりいいと思います。
学部での学びが、未踏ITへの背中を押した。
――
大学での学びは、今回の挑戦にどう活きましたか?
浅野
正直、入学後は開発を辞めようか迷った時期もありました。でも情報連携学部創設者・坂村先生のTRON※ OSの話や、挑戦を後押ししてくれる先生方の存在が、再び火をつけてくれました。
髙橋
独学では得られない視点を学べたことが大きいです。設計の妥当性を先生に相談できたことも、心強かったですね。
――
最後に、今後の抱負を聞かせてください。
髙橋
ソフトウェアの品質向上が目標です。設計は8割ほど完成しましたが、ここからが本番。ゼロから8割を目指す時も大変ですが、8割から10割を目指す時も同じくらい大変なんです。学業との両立も含め、踏ん張りどころですね(笑)。
浅野
Floorpを進化させつつ、社会に新しい価値を届けるクリエーターになりたいという大きな夢があります。自ら未知の領域に足を踏み入れて絶えず挑戦し続ける。そんな“攻め”の姿勢でこれからも開発に取り組んでいきたいですね。

※TRONとは・・・1984年に坂村健氏らが開始した、日本発のコンピュータ・アーキテクチャ構想です。リアルタイム性を重視し、オープンな形で発展したTRON系のリアルタイムOSは、現在も組込み分野で広く利用されています。