About Toyo University わたしたち東洋大学とSDGs

 地球規模の課題解決を目指すSDGsは、決して遠い世界の出来事ではありません。 現在開催している大阪・関西万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げ、SDGsの達成に向けたさまざまな課題に取り組み、世界中からたくさんの人やモノが集まるイベントとして注目を浴びています。東洋大学でも、学生・教職員一人ひとりがSDGsを「自分ごと」として捉え、持続可能な未来をつくっていくための多様な活動を進めています。
 今回の特集では、東洋大学の熱意あるSDGsへの取り組みをご紹介します。




ー大学のSDGs達成に向けた取り組みー
教育プログラム開発やシンポジウム企画など、
組織的な活動と並行し、毎年100人近い学生がSDGsアンバサダーとして活動中
 SDGsへの取り組みは個別に行っていましたが、全学規模で始まったのは、「東洋大学SDGs行動憲章」が制定された2021年6月。実は本学の創立者 井上円了の精神を今に受け継いだ「他者のために自己を磨き、活動の中で奮闘する」という「東洋大学の心」には、SDGsの理念と重なる部分が多くあります。そうした意味ではSDGsという言葉が生まれる以前から、本学の教育の根底にはSDGs的な考え、精神が流れていると言えます。
 行動憲章を踏まえ、2022年に「SDGs推進センター」が設立されました。センターの活動は教育プログラムの開発、研究支援、社会連携活動など多岐にわたります。教育分野では、全学部の共通科目として「SDGs実践講座」を新たに開講したほか、SDGsへの理解を深めるためのシンポジウムやイベントなども毎年開催しています。2024年度は「スポーツとSDGs」をテーマにしたシンポジウムを企画し、パリオリンピック・パラリンピックで活躍した本学アスリートや、現地で彼らを応援した学生たちにスピーチをお願いしました。SDGsの課題は講義や書物からも学べますが、当事者の話を聞いたり、実際の姿を見ることでしか学べないこともたくさんあります。シンポジウムを開催することでそうしたリアルな学びの場を学生に提供できればと考えています。
 本学ならではの試みとしては、「SDGsアンバサダー制度」が挙げられます。これはSDGsの活動に主体的に取り組む学生個人や団体に対し、学長がアンバサダーの称号を与え、大学側が活動を支援するというもので、2025年度は109名の学生がアンバサダーに認定されました。ウォーターサーバーの設置などアンバサダーが提案して全学的に導入された成果も複数あるほか、樹海清掃ボランティアや防災・まちづくりなどの社会貢献活動、キャンパスごとの地域連携プロジェクトも行われています。さらにSDGs留学生アンバサダーに14名が認定され、グローバル社会の問題解決につながる活動に取り組んでいます。これらのように、キャンパス内外での学部を超えた連携によって、学生が社会課題に主体的に関わりながら成長することを、今後も大学全体で応援したいと思います。
Interview
センター長インタビュー
SDGs推進センター長
副学長、生命科学部 生命科学科教授
金子 律子
Profile
医学博士。専門分野は脳神経科学、発達心理学。2006年より東洋大学生命科学部教授。2024年より副学長、SDGs推進センター長。SDGs関連の活動としては、脳科学の分野の原因メカニズムの解明と自閉スペクトラム患者の感覚特性、保育・教育支援につなげるための研究などを行っている。
「他者のために自己を磨き、活動の中で奮闘する」 大学の精神はSDGsの理念ともリンクしています。
東洋大学SDGs行動憲章について

 2021年6月、学校法人東洋大学および東洋大学はSDGsの理念に賛同し、行動憲章を制定しました。
 詳細は下記を参照ください。

SDGs 行動憲章
ピックアップ 1
Toyo SDGs Weeks
 学内のSDGsムーブメントの醸成と、地域社会の未来のために主体的に行動する人の育成を目指し、毎年10月から11月の約1ヶ月間にSDGs関連イベントを集中的に実施する「TOYO SDGs Weeks」を開催しています。2024年度は、この期間内にスポーツとSDGsをテーマにしたシンポジウムを開催。パリオリンピック・パラリンピックに出場した本学在籍選手の講演・パネルディスカッションが行われました。そのほか、合計26種類のプログラムが行われ、延べ約3,500人が参加しました。
スポーツとSDGsシンポジウム
ピックアップ 2
SDGs NewsLetter
 2020年よりSDGsの目標達成に向けて取り組んでいる研究や活動をNewsLetterとして配信しています。未来のために何ができるのか、日々考え挑戦し、あらゆる分野で活躍している教員のインタビュー記事を公開中です。
https://www.toyo.ac.jp/sdgs/newsletter/



地域芸術祭のあり方を模索し、「観光まちづくり」が持つ可能性を開拓する
多様な組織・個人の連携で包括的なサポートを実現する 北欧の福祉社会
食品ロス問題の本質とは? 食料経済学から考える解決への道筋
子どもの多様性を尊重し共に学び合い、成長できる居場所づくりを実践
2100年を見据えて最適な選択を カーボンニュートラル実現に向けた環境経済学的アプローチ
プラスチックごみから海を守るために消費者の意識を変えるには?

ーSDGs活動に奮闘する学生たちー

SDGsアンバサダーの代表として、学生が主体的に活動できる場を整備

知らないこと、理解できないことを「他人ごと」ではなく 「自分ごと」と捉え直すことが出発点

 SDGsアンバサダーになったのは大学2年の春。当時の私は月経について考える「MeWプロジェクト」のメンバーとして活動していました。男性の私が月経について知りたいと思ったのは、生理の痛みやわずらわしさを女性だけの悩みや問題にするのではなく、男性も寄り添うべきだと考えたからです。私たちは自分が知らないこと、理解できないことを「他人ごと」と捉えがちですが、それを「自分ごと」として受け止めて解決策を探るのがSDGsの基本です。
 2024年からSDGsアンバサダーの全体統括を務めており、現在は2期目になりましたが、1期目は組織体制の見直しを行いました。それまではアンバサダーがおのおの活動内容を考え、各自行動する流れでしたが、「自分ごと」のマインドをもってSDGsへ取り組んでほしいという思いから1泊2日の合宿を開催しました。横のつながりを深めながら、組織としてマインドを共有できたと感じています。
 現在も各キャンパスでは、学生主体によるさまざまなSDGs関連の東洋大学プロジェクトが進行中です。白山キャンパスで実施している「東洋大学ウォーターサーバープロジェクト(SPRING)」もそのひとつです。これはマイボトルの利用を促してペットボトルゴミを減らすためのプロジェクトで、ウォーターサーバーを学内に複数台設置し、利用者の意識調査や利用データの分析などを行っています。どのプロジェクトも、地球規模で考えると小さな取り組みに過ぎないかもしれません。しかし私は身の回りの生活の中で、自分ができることに取り組むことこそがSDGsの課題解決には最も重要だと考えます。大きなことや難しいことをするのではなく、ぜひ身の回りの生活でできることからはじめてみてください。SDGsアンバサダーの全体統括として、これからも学生が主体的に活動できる場を整えていきたいです。

松本和大さんの写真
国際学部 国際地域学科4年
SDGsアンバサダー全体統括
松本 和大さん
日々暮らしている生活の中に潜む小さな課題に注目しています。

難民・移民問題の解決に向けて、学内チームでアプローチ

実際に相手を知り、相手とつながることで、意識は変わることに気づきました

 私は中国出身の留学生で、高校時代はフィジー共和国で学び、2019年からは東洋大学で学んでいます。また「RISE-難民・移民と手をつなぐ」という団体を2024年に学内で立ち上げて、難民や移民に寄り添うための活動にも取り組んでいます。難民・移民問題に興味を持ったのはフィジーに留学していた時でした。南太平洋に浮かぶ島々からなるフィジー周辺は気候変動による海面上昇被害が顕著なエリアで、水没して家を失った周辺国の人たち(気候難民)がフィジーに多く移り住んでいるのを知り、「彼らのために何かできることはないか」と考えるようになったのです。
 とはいえ、私がやりたかったのは難民・移民への「支援」ではありません。そうではなく、同じ人間として何かできることがあれば、互いにつながり、助け合いたいと思ったのです。団体名の「手をつなぐ」はそういった思いから名付けました。
 もしかすると、異なる文化の人たちとつながることに不安を感じる人もいるかもしれません。実は私も以前はテロ報道などの影響でイスラム圏の人たちを怖いと感じていたこともありました。しかし高校時代のフィジー留学を機にそれが偏見に過ぎなかったことに気づきました。留学先にはイスラム圏の生徒が何人もいましたが、実際に話してみるとみんないい人ばかりだったのです。実際に相手を知り、相手とつながることで、意識は変わります。RISEとしての活動はまだ始まったばかりですが、去年の白山祭では、ユニクロとのコラボによる写真展や、難民が作った手工芸品の販売会、難民や移民の気持ちを体験するワークショップ(他団体が協力)などを企画しました。これからも「つなぐ、つながる」をテーマにさまざまなアクションを起こしていく予定なので、興味をもたれた方はぜひ活動に参加してみてください。

SUN YANさんの写真
国際学研究科国際地域学専攻
博士前期課程1年
SDGsアンバサダー
「RISE-難民・移民と手をつなぐ」代表
SUN YAN(スン・ケン)さん
「つなぐ、つながる」をテーマにさまざまな国際交流活動に取り組んでいます。