About Toyo University Progress 未来へはばたく在学生 ライフデザイン学部人間環境デザイン学科 東洋大学×伊勢丹新宿店 産学協同プロジェクトチーム
Progress 未来へはばたく在学生
ライフデザイン学部※人間環境デザイン学科
東洋大学×伊勢丹新宿店産学協同プロジェクトチーム
東洋大学には学問・研究・スポーツ・ボランティアなど、多様な領域で活躍する学生がたくさんいます。
今回は、産学協同で百貨店のショーウインドウの装飾デザインを担当した学生プロジェクトチームにお話を伺いました。
ライフデザイン学部※人間環境デザイン学科 東洋大学×伊勢丹新宿店産学協同プロジェクトチーム
人間環境デザイン学科3年の有志学生が、産学協同で伊勢丹新宿店本館地下1階ショーウインドウ10面の装飾をデザイン。
企業とともにアイデアを検討し、設計・制作を実施、2024年12月27日から2025年1月13日まで展示された。
※2023年度より福祉社会デザイン学部
未来のクリエイターを創出する、体験型実学教育の場。
このプロジェクトは伊勢丹新宿店様、株式会社スタジオアルタ様、株式会社丹青ディスプレイ様との産学協同で、有名百貨店のディスプレイ制作という貴重な機会を通じ、新しい感性の育成や発掘、未来のクリエイターの創出を目的とした取り組みで、2022年から始まり今回が3回目の実施となりました。私たちは昨年5月に、学科の有志学生約50名によるワークショップ形式からスタートし、まずは装飾デザインを決めるためにいくつかのグループを作り、アイデアコンペを進めていきました。伊勢丹様から「未来を開く、広がる繋がり」「地域活性化」というキーワードをいただいた中で、2024年元日の大震災で被害を受けた能登半島の復興を大きなテーマとして意識するようになりました。各グループの提案にはそれぞれの復興に対する想いや考え方が表現されていて、最終的に「襖」をモチーフとしたグループの案を中心にデザインを考えることにしました。
新しい年の始まりに、明るい未来が開けるように。
「襖」というコンセプトは、子どもの頃にお正月を過ごした祖父母の家での家族団欒の象徴として浮かんできたものでした。「明るい未来を開く」という想いと襖を開く動作に親和性も感じています。ショーウインドウの中から復興への願いが伝わるよう、襖の先には北陸三県の名所や文化をレイアウトしました。
実は当初は、襖が自動で開閉するような仕掛けを肝として考えていたのですが、サイズが小さいこちらのショーウインドウの中ではその仕掛けを設けるスペースの確保が厳しく難航しました。伊勢丹様とも打ち合わせを重ねる中で「そのギミックはご覧いただく方々にとって本当に必要なものなのか」というご指摘をいただきました。このプロジェクトで私たちがすべきことは、飾る商品がより良く見えるためのディスプレイデザインを制作することであり、自分たちの作品を作ることではありません。ギミックを無理に詰め込もうとして、商品やその奥にある復興への想いが伝わらなければ本末転倒だと気づかされました。開閉の仕掛けを断念し、襖を半分で配置したり、半円の覗き窓にしたりと別の仕掛けを用いることでうまくコンセプトを反映していきました。日頃の授業課題では自分たちのアイデアを重視して、現実からは少し離れがちになってしまうこともあるのですが、実際に企業の方々とアイデアを形にしていく過程では、時間や予算、権利の問題など細かな点をクリアすることが求められました。私たちが表現したいものと、企業や社会から求められるものの違いを痛感した瞬間でした。
デザインの本質と真剣に向き合い、得られた達成感と向上心。
伊勢丹様へアイデアをご提案するプレゼンの時間は張り詰めた空気があり、少し怖さも感じました。一方で、これがプロとしてデザインに向き合うことなんだと実感し、まだ学生の私たちのアイデアに真剣に向き合ってくださっていることに、嬉しさもありました。私たちの話す言葉がひとつ違っただけでも、本当に伝えたいことが伝わらないかもしれないという緊張感があり、魅力が100%伝わるような言葉選びや準備も大切だと実感しました。
展示の設営の際は私たちも作ったパーツを現地に運び込み、お手伝いさせていただきました。仲間全員で一丸となって制作したウインドウが飾られた瞬間は言葉にできないほど感動的で、ウインドウに足を止めて意図した仕掛けを楽しんでくださる方を目にしたときは、私たちのデザインが人々の生活の一部を豊かにできたような喜びを感じました。思い描いたデザインを具現化するプロセスは、想像していた以上に複雑かつ挑戦の繰り返しでしたが、多くの学びと達成感がありました。今回の経験を通じてデザインの力が人々に与える影響や可能性を身をもって体感し、今後の学びでもより高みを目指して挑戦していきたいと思いました。
指導教員の声
福祉社会デザイン学部 人間環境デザイン学科
名取発准教授
学生それぞれが得意分野を活かしたり皆でカバーし合いながら、取り組んでくれたと思います。本来であればプロがやって然るべき都心の一等地のショーウインドウデザインを、学生を迎え入れて制作してくださった伊勢丹新宿店様の懐の深さにたいへん感謝しています。学生たちもその意思を汲み取ってこちらの場所にふさわしいレベルのものを作り上げることができました。3回目の今回も産学協同として素晴らしい成果を得ることができたと感じています。
プロの方の装飾作業を見学
展示の様子
1日約1万人が行き交う
伊勢丹新宿店の地下通路