About Toyo University Progress -未来へはばたく在学生-(社会学部4年 鏡優翔選手)

Progress 未来へはばたく在学生

東洋大学には学問・研究・スポーツ・ボランティアなど、多様な領域で活躍する学生がたくさんいます。
今回は、9月に開催されたレスリング世界選手権2023で優勝し、2024年パリオリンピックの日本代表に内定した鏡優翔さんにお話を伺いました。

gakuhou272_p12_main

社会学部
メディアコミュニケーション学科4年

鏡 優翔 さん
中学3年生でJOCエリートアカデミー※ に入校。国際大会で輝かしい戦績を残す。世界選手権2023 女子最重量級の76kg 級にて優勝し、日本人として20年ぶりの快挙を達成。来年に行われるパリオリンピックの日本代表に内定した。

※将来オリンピックをはじめとする国際競技大会で活躍できる選手を育成するために、ジュニア期におけるアスリートの発育・発達に合わせ、トップアスリートとして必要な「競技力」「知的能力」「生活力」の向上を目的としたアカデミー

「本物のメダルが欲しい」幼い夢は、世界の頂点へ。

私は幼い頃から負けず嫌いな性格で、保育園の運動会のかけっこの時も、お手製のメダルをもらうために1番を目指すような子どもでした。ある日、私より先にレスリングを習っていた兄のチームメイトの家に遊びに行くと、そこにはメダルやトロフィーがずらっと並んでいて「私も本物のメダルが欲しい!」と思ったのがレスリングを始めたきっかけです。レスリングを始めて3ヶ月が経った頃、全国大会で3位の成績を持つ子に勝って銅メダルを獲ることができ、そんな強い相手に勝てたということがとても嬉しかったことを覚えています。試合で勝ったことへの喜びと、結果を出すことで家族や周囲の人たちが喜んでくれることが嬉しくて「もっといい色のメダルに変えたい」という欲が芽生えました(笑)。夢中でレスリングに打ち込み、全国大会で優勝を経験するうちに、世界で一番大きな大会であるオリンピックで「金メダルを獲ること」が自然と目標になっていきました。

gakuhou272_p12_01

目標から逆算して、常に成長を考える。

大切にしていることは「大きな目標から逆算して日々の練習に落とし込むこと」です。東洋大学へ入学する前から大学卒業後にパリオリンピックがあることは意識していました。「何年何月にはこの目標を達成する」と金メダルまでの道のりを書き出して、そこに向かう上で今の自分に必要なものや足りないものを普段の練習から一つずつ確認していきました。もちろん、試合に負けたり怪我をしたりと想定していた道のりから外れることもあります。昨年は大きな怪我で世界選手権選考の試合を途中棄権することもありました。しかし、この怪我にも必ず意味があると考え、ウエイトトレーニングや心肺機能を高めるトレーニングに励みました。その期間は本当に充実していて、今の私があるのはあの怪我があったからと言えるくらいです。悔しい思いにとらわれることなく、目標への正しい道がブレないよう意識し続けてきたからこそ乗り越えられたのだと思います。大学では体格の大きい男子選手と練習できる環境が整っていたことも大きな成長に繋がりました。国内では女子の最重量級選手は少なく、世界レベルを想定した練習相手はなかなか見つかりません。男子選手のパワーやスピードに慣れ、それを上回ってやるくらいの気持ちでトレーニングを積めたことが「私の武器はスピードだ」と言えるほどの自信にも繋がっています。メンタルコントロールも大切ですが、監督・コーチとのコミュニケーションを十分にとることでコンディション維持できるよう努めています。また、オフの日は友人や後輩と出かけるなど、学生生活も楽しんでいます。

gakuhou272_p12_02

夢見たあの景色を、オリンピックでもう一度。

9月の世界選手権では準々決勝がひとつの山場だと思っていました。相手はアメリカのアデライン選手。世界選手権で6 度の優勝を誇る強敵であり、私が小さい頃から意識してきた選手です。しかし、準々決勝に至るまでに積み上げてきた練習の質と量を信じ、怯むことなく戦えました。この勝利は本当に自信になり、自分がやってきたことは間違っていなかったと証明できた瞬間でもありました。そこからは自信が緊張を上回り、オリンピック代表の内定がかかる準決勝、女子最重量級における20 年ぶりの優勝がかかった決勝も、何も怖いものはないと思いながら、挑むことができました。私はこの世界選手権での優勝に至るまで、投げ出したくなるほどの厳しい練習に耐え抜いてきました。その支えになったのは「世界の舞台でウイニングランをする」という夢でした。その景色を想像し、あと一歩、もう少し、と乗り越えてきたんです。世界舞台での初めてのウイニングランは、最高に幸せなもので、今まで見てきた景色とは何もかもが違って、目に映るものすべてがキラキラして見えました。
今までオリンピックの舞台で女子76 kg 級を制した日本人はいません。私は世界選手権で優勝しましたが、この階級は毎年表彰台にあがる人が目まぐるしく変わるほど実力が拮抗した世界です。何一つ慢心することなく、自分の人生をかけた夢と女子レスリング
界の夢を胸に、再び最高の景色を見られるよう努力を重ねていきます。

gakuhou272_p12_03

gakuhou272_p12_04

gakuhou272_p12_06
世界選手権優勝当日
(セルビアにて試合後に前田コーチと)
2023全日本選抜選手権大会でも優勝した パリオリンピック出場報告会 レスリング部の仲間と