学校長メッセージ(受験生向け)
受験生への校長メッセージ 
- 2026年度入試 6月号
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“人生における大きな喜びは、「君にはできない」と世間が言うことをやってのけることである。”
この言葉は1826年にイギリスで生まれた著名な経済学者で政治評論家、そしてジャーナリストのウォルター・バジョットです。この言葉は、他人の評価に左右されないバジョットが、人の否定的な意見に影響されることなく、自分自身の信念を貫くことの大切さを伝えてくれているのだと私は思います。
この言葉には、自分の可能性を信じるというメッセージも込められていると考えます。世間が「できない」と言うのは、その人たちの限界や価値観に基づいた意見にしか過ぎません。しかし、他人がどう言おうと、自分自身の力や意志を信じることで、逆境を乗り越え新しい道を切り開くことができるのだと、仰っているのではないでしょうか。
人が、人と一緒に生きる限り影響されることは止むを得ないと思います。しかし自分の目的や目標を変えてしまうまで従う必要はありません。自分だけが本当の可能性を知り、追求して行く唯一の存在です。人に振り回されることなく、自分が本当にやりたいことや挑戦したいことを、自分の意志で最後の最後まで。
どんなことを言う人がいても、最後の最後に笑うのはあなたしかいません。きっと待っていますよ、最高の笑顔が。 - 2026年度入試 5月号
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みなさんは、昨年4月から兵庫県姫路市の教育長を務めている久保田智子さんをご存知でしょうか?かつてTBSのアナウンサーや報道記者として「どうぶつ奇想天外!」や「報道特集」など多数の番組に出演され、ニューヨーク特派員も務められた方です。
この方が産経新聞の取材へ、次のように答えられているのを見て、私は自分とそっくりな生き方をされている方だなあと思いました。
「もともと外の世界の面白さを他の人に伝えたいという思いが強かったです。」
「変化が大好きなんです。変化は自分の考えを新たにしてくれる。子どもの頃から引越しが多く、環境への適応力が鍛えられたのかもしれません。」久保田さんは「メディア、オーラルヒストリー、教育長…。異世界に見えても、軸はぶれていない。」とも仰っています。
私も大阪市旭区、奈良県橿原市、大阪府柏原市、奈良県大和郡山市、埼玉県与野市、埼玉県川口市、茨城県牛久市、神奈川県大和市、相模原市南区、東京都八丈島八丈町と引っ越して来ました。私も中2の頃になりたかった職業は教員か、アナウンサーか、弁護士でした。どの職業も口を使って、多くの人に理解して貰えるよう努力する仕事です。ひょっとすると教員になったのも生徒とは反対側の「異世界」を伝えたかったからかもしれません。教員になってからも様々な立場を経験してきました。「異世界」から見る反対側の世界は、実に深く魅力的です。今までの繰り返しが通用しない「異世界」は、常に新しい物へのチャレンジの世界です。
さて、そんな久保田さんがアメリカの大学院で学ばれたという言葉をご紹介します。
「助手席や後部座席に座っている人生は楽しくない。」
確かに助手席や後部座席は安全かもしれません。一方ドライバーには、時に命と引き換えになる大きな責任が伴います。常に安全なところへ身を置くのではなく、折角の自分の人生ですから、少しチャレンジして運転席へ座ってみませんか?
受験は、自分が自分の人生のドライバーになるという大きなチャレンジです。そろそろ助手席や後部座席にいる勉強から、ドライバーとして行ったことのない、通ったことのない未知への道へ一歩、踏み込んでみませんか?きっと新しい世界が見えてきますよ! - 2026年度入試 4月号
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本校ホームページをご覧いただいているみなさん、こんにちは。
校長の星野純一郎と申します。
今年度も、より大きな目標に向けて日夜頑張っておられる受験生のみなさんへ、立派な桜が咲くようにという願いを込めて、この「受験生への校長メッセージ」をお届けしていきます。
桜の花に限らず、満開になった花は、見ている者にとっても大きな力になります。
しかし、花はいつも咲き誇っているわけではありません。その季節に応じて綺麗な色とともに、実も提供してくれることがあります。
今から四半世紀前のシドニーオリンピックで日本女子陸上界初の金メダルをとったQちゃんこと、高橋尚子さんの座右の銘です。高橋さんがまだ無名だった頃、高校陸上部の中澤正仁監督から贈られた言葉をご紹介します。
「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く。」
私も大学生の頃、水泳をやっていて記録が止まってしまった経験があります。練習を始めた頃は、面白いように毎日ベストタイムを更新していました。しかし、ある時ピタッと止まる。合宿直後は、特に顕著でした。もう練習しても伸びないのか?そんな不安に駆られた時があります。
そんな時、私は基本に戻りました。手の掻き、足の動き、呼吸の仕方、姿勢、すべてを基本のスタイルへ戻しました。そして迎えた大会当日。ついにベストタイムを更新することができました。
花や緑は、春や夏だけのためにあるのではありません。寒い冬を越えたからこそ、花や実が結ばれていくのです。スランプがあるからこそ、強くなれる。厳しい冬を乗り越えたからこそ、春が来る。
勉強も同じです。伸びなかったら、基本へ立ち戻ってみてください。きっと新しい、生まれ変わった、あなたが見えてくるはずです。
そして1年後あなたは、Qちゃんと同じ言葉を言うでしょう
「短く、楽しい42.195kmでした!」