2019年は第一次世界大戦が終結し、戦後体制を協議すべくパリにおいて講和会議が開催されて100周年にあたる。日本は戦勝国として、また「五大国」の一つという強い自負を持って、西園寺公望元首相、牧野伸顕元外相、珍田捨巳駐英大使、松井慶四郎駐仏大使ら大物政治家・外交官らを送り込み、この会議に臨んだ。会議自体は必ずしも日本の思惑通りには運ばなかったものの、この講和会議以下の諸会議、諸講和条約の中で、日本はインド洋を越えて中東・イスラーム世界さらには地中海にまで影響力を伸長させるべく様々な政策を展開し始めた。それらは今日まで連綿と続く日本の中東イスラーム政策の原点とみなすことが可能である。
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