2022年9月1日
東洋大学アジア文化研究所では2022年9月より、国立民族学博物館拠点(中心拠点)、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、同志社大学とともに、「グローバル地中海地域研究プロジェクト」を始動させました。
東洋大学アジア文化研究所における本プロジェクトの目的は、地中海における「イメージ/表象」の形成過程の系譜や歴史的変遷、現代的な動態を考察して、地中海が「地域」として意識されるようになった経緯を明らかにすることにあります。具体的には、西欧諸国が抱いて構築してきたオリエンタリズム的・他者的な地中海の言説と、地中海沿岸に属する非西欧諸国たるバルカン半島諸国とトルコから北アフリカにかけてのイスラーム諸国が自画像として築き上げてきた地中海の実態との関係性とを、文化人類学・歴史学・文学・芸術・観光学・ポピュラーカルチャー研究など多角的な手法に基づき具体的に解明することを目指しています。
グローバル地中海地域研究プロジェクトの目的
グローバル地中海・東洋大学アジア文化研究所拠点での調査研究は、国立民族学博物館拠点(中心拠点)、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、同志社大学とのネットワークを形成しながら、国内外の研究機関との組織的な連携・協力体制の下で実施されます。これらの研究機関とともに推進する「グローバル地中海地域研究プロジェクト」では、次の二つの目的を掲げています。
第一に、地中海を取り囲む諸国を、北は「ヨーロッパ」、南は「中東・北アフリカ」として分断する既存の地域研究の枠組みを脱構築し、「地中海地域」としての歴史的・文化的な関係性を包括的にとらえるアプローチを探求することです。
第二に、地中海は内海であるものの、西に航海すれば大西洋の先にアメリカ大陸、南東のスエズ運河を経由して紅海から東アフリカやインド洋と繋がっています。また、シルクロードをたどると中央アジアに到着します。本プロジェクトは、大航海時代から現代までの地中海を介したグローバルな人・モノ・知識の往 来について、文学、歴史学及び文化人類学を主要なアプローチとし、相互連携しなが ら共同研究を進めていきます。超地域的かつ学際的アプローチを援用して考察することで、 新しい地域研究の構築を目指しています。
なお、「グローバル地中海地域研究プロジェクト」は、大学共同利用機関法人人間文化研究機構・人間文化研究創発センター(令和4年度設置)が推進する、人間文化研究機構ネットワーク型基幹研究プロジェクト・地域研究推進事業「グローバル地域研究推進事業」の一環として実施されます。