2022年8月24日、一般社団法人大学英語教育学会から、本学経営学部・藤尾美佐教授の業績が2022年度大学英語教育学会褒賞(優秀賞)に決まったことが発表され、同日開催した「第61回国際大会(オンライン開催)」で表彰されました。
藤尾教授は、『A Pragmatic Approach to English Language Teaching and Production』(風間書房、2019年)の執筆に携わっており、このことが評価されました。
大学英語教育学会褒賞は、英語教育および関連分野において顕著な業績をあげた個人に授与し、その栄誉をたたえ、斯界の教育・研究の反転への貢献を期することを目的にして、1977年に創設されました。
藤尾美佐教授のコメント
今回の受賞はpragmatics(言語の使用を研究する学問)での共著の受賞となりました。この著書の中で私は、Differences in the quality of interaction between spoken and written communication という1章を寄稿し、話し言葉と書き言葉の相違点について論じています。 英語を話すときに完璧な英語を話さなければいけないと考えている人は多いかもしれませんが、これは言語の性質を考えたときに全く誤った考え方です。なぜなら話し言葉というのは、対話者が目の前にいるので、言語の精度よりも相手とのインタラクションが重要になるからです。そのため言語の性質も断片的な情報のやりとりとなります。一方、書き言葉は読者とのインタラクションがないので、より言語の精度が求められるという特徴があります。今回の私の執筆の中では、こうしたインタラクションの違いについてこれまでのコミニケーション理論をベースに議論し、両者の相違点だけでなく類似点についても話しています。 類似点とは、書き言葉も実は読者がそれをどのように理解し、それを自分自身の言葉で再発信するという点において、時間差はあるにせよ、意外にインタラクショナルな行為だという点です。 今回の著書ではこのことを述べて、話し言葉と書き言葉の間のちょうど接着剤となるような論文を書きました。
私自身の学会賞受賞は実は6回目です。研究者人生において1回でも学会賞を受賞できれば御の字であることを考えると、私には過ぎた受賞であると思われますが、これによってビンゴゲームのちょうど真ん中が開くような状態になりました。海外での受賞が3回、国内での受賞が3回とちょうど半分ずつとなり、またこの大学英語教育学会で(JACET)では新人賞も取っていますので、今回の受賞と合わせて二冠となりました。また国際ビジネスコミニケーション学会(JBCA)でも学会初の学会賞を取っていますので、日本の学会でも二冠を達成いたしました。このような、ある意味偉業を成し遂げることができたのも、全て東洋大学のおかげだと思っています。東洋大学に対し、改めてお礼申し上げます。
個人的には、学会賞も、もう十二分にいただいたと思う反面、これからますます頑張って学会賞を10個取ることを目標にしていきたい気持ちもあります。機会があれば、是非私の受賞作をお読みいただければと存じます。 引き続きよろしくお願いいたします。
【過去に受賞した論文を一部ご紹介いたします】
- Best paper Award at the GABC 5th Annual Tricontinental Conference 2013
"The Role of Linguistic Ability and Business Expertise for Turn-taking in Intercultural Business Communication" in The GABC Journal Vol 3. - 2020 JBCA Award “Challenging facing globally-minded leaders in a Japanese-European joint venture company” in the BRCP Journal.
関連サイト
・一般社団法人大学英語教育会(JACET)Webサイト
・風間書房『A Pragmatic Approach to English Language Teaching and Production』案内サイト