第2回 東洋大学文学部書道展

2022年度 東洋大学文学部書道展(第2回)

東洋大学では、かねてから書道教員免許取得を目指す学生たちによる作品を展示する「東洋大学書道展」を文京シビックセンターにて開催してきました。そして、昨年度より、新たに、本学井上円了記念博物館において、文学部書道展を開催することとなり、今年度は第2回となります。
まだまだ新型コロナウィルス感染症の流行により、さまざまな制限を受けている状況ではありますが、学生たちは研鑽を積み作品制作を続けてきました。この機会に、本学における教育研究の成果として、ぜひ学生と教員による作品をご覧いただければ幸いです。
※当館では、新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から、当面の間、利用者を学内関係者に限定します。

開催期間

2022年6月15日(水)~9月30日(金)
*新型コロナウィルスの感染状況等によって、開催期間および開館日・時間を変更する場合があります。

主催

東洋大学文学部

協力

東洋大学井上円了記念博物館

会場

東洋大学井上円了記念博物館 展示室
〒112-8606 東京都文京区白山五丁目28番20号
東洋大学白山キャンパス5号館1階
TEL.03-3945-8764(博物館直通)
*電話は担当者不在等により、つながらない場合もあります。

開館時間

月曜日~金曜日 9時30分~16時45分
土曜日 臨時休館
*当面の間、土曜日は臨時休館とします。

休館日

日曜、祝日、その他大学の定める休業日
*当面の間、土曜日は臨時休館となります。
*詳しくは、Webページの開館カレンダーをご覧下さい。

入館料

無料


≪2022年度東洋大学文学部書道展 作品展示風景≫

展示作品をご紹介いたします。
*釈文につきましては、こちら(PDF/266KB)よりダウンロードしてご覧ください。

作品1 敬天愛人 / 辻 大晴

 敬天愛人とは、「天を敬い、人を愛すること」である。幕末の志士、西郷隆盛の座右の銘として知られ、彼の直筆の書も現存している。縦書きの作品であるため、左右の均衡を意識した。字体は、木簡の書法を参考にした。濃墨を使用し、力強く、かすれのある運筆を心がけた。

 

作品2 臨継色紙 / 辻 大晴

 「継色紙」(伝小野道風)は、見開き一枚の紙に、万葉集や古今集などの歌がそれぞれ散らして書かれた作品である。「三色紙」の一つであり、平安時代を代表する古筆として尊重されている。形を模すだけでない、字母を理解した仮名文字の臨書に苦心した。余白や点画の間隔を活かした配置を心がけた。

 


作品3 落款印 「辻大晴印」 「大晴」 / 辻 大晴

 

作品4 三春輝 / 蓑輪 亮太

 この句は、『古文真宝』に録される孟東野の句を、顔真卿書風を意識しながら書いた句です。孟東野の句は、大人になるにつれてようやく親への感謝の念が芽生えた私にぴったりの句だと思い、私の好きな顔真卿書風と合わせて創作しました。特に、質実剛健な運筆には意識を割きました。

 


作品5 臨元永本古今和歌集巻第九 / 蓑輪 亮太

 この歌は、元永本古今和歌集巻第九に収録されています。作者は読み人知らずとする説と、柿本人麻呂とする説があります。ここでは、危険な旅路を憂う作者の思いがあふれており、臨書の際には、文字の連続や、点画の省略、流れるような運筆、そして作者の感情を意識して書きました。

 


作品6 落款印 「蓑輪亮太」 「亮太」 / 蓑輪 亮太

 

作品7 臨雁塔聖教序 / 櫻田 直子

 褚遂良の『雁塔聖教序』の一部の臨書。褚遂良の晩年の書で653年と年記されている。字形は、粘りがあり、細身の線であるが、強弱がしっかりと出ている。また、余白を大切にしているため、小ぶりであるが、それを感じさせない存在感がしっかりとある。行書的な楷書であり、楷書の基礎として尊重されている。右はらいが力強く、粘りのある書を意識した。また、細い線と太い線の抑揚に気を付けて臨書した。

 


作品8 落款印 「櫻田直子」 「直子」 / 櫻田 直子

 

作品9 臨菩薩蔵経後序 / 髙野 雄一

 中国明代末期の文人、董其昌の「菩薩蔵経後序」の臨書。線の特徴として、入筆出峰が鋭利で引き締まった印象を受け、流麗で美しい。字形は全体を通してやや右上がりであり、偏と旁の大きさのバランスが絶妙に構成されている。淡白にならないよう、線や墨入れの強弱を意識した。

 

作品10 臨孔子廟堂碑 / 檜山 遥花

 虞世南の書丹した「孔子廟堂碑」(630年頃)の臨書。起筆と収筆が目立たない、伸びやかで自然な運筆が特徴。温厚な書のうちに高い品位を醸し出している。一つ一つの字はそれぞれ概形が異なるが、全体として美しく調和している。特徴的な線を表現するために、あまり筆の角度をつけないよう気を付けた。点や線にゆとりを持たせることを意識し、それぞれの字の重心と概形に意識を向けながら書いた。特に右払いは長く豊かに伸ばすことができるよう努めた。

 

【賛助出品】

作品11 寧楽 / 川内 伯豐(文学部日本文学文化学科講師)

 吉祥語「寧楽」を、篆書体の一つである「小篆(しょうてん)」で書いた作品。篆書のシンメトリーな造形のなかに、墨の潤渇や線の肥痩をつけて変化と生動を図った。出典は、『墨子』尚賢中の「美善は上に在りて、而ち怨謗する所は下に在り、寧楽は君に在りて、憂慼は臣に在り。(物事が美しく善なることの源は為政者の統治にあり、民の怨みや誹謗の源は官吏の職務にある。物事の安楽の源は君主にあり、憂いや患いの源は臣下にある)」による。

 

作品12 唐詩三種 / 喜入 彩光

 字形をデフォルメし、筆の使い方によって線質に変化を持たせたつもりである。一貫して変化に富んだ表現になるよう工夫した。

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