公開講座の様子
IBD体験シミュレーションプログラムについての説明を受ける学生
2025年2月27日、本学と武田薬品工業株式会社(以下、武田薬品)が連携し、朝霞キャンパスで特定疾患(難病)に指定されている炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease、以下「IBD」)の疾患啓発のための公開講座を開催し、食環境科学部・食環境科学研究科をはじめとした学生、教職員、地域住民など約 80 名が受講しました。
IBD は、消化管に慢性的に炎症・潰瘍が生じる疾患の総称で、主に「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」を指します。国内の患者数は、潰瘍性大腸炎が約 22 万人、クローン病が約 7 万人※1 と推定されており、国の特定疾患(難病)に指定されています。発症年齢のピークは 10 代後半から 20 代が多い※2 疾患ですが、社会的認知度は高くありません。患者さんの多くは、頻回な下痢や血便、腹痛、発熱、さらには慢性疲労に悩まされながら日常生活を送っており、食事とトイレが生活の中での大きな課題となっています。
このような背景を踏まえ、IBD の発症年齢と近い大学生で、日々「食」について学び、研究する食環境科学部の学生らが公開講座を受講し、IBD という疾患や、疾患を抱える患者さんの生活課題について理解を深めました。
また、2月28日の「世界希少・難治性疾患の日」にあわせ、食環境科学部健康栄養学科の学生 5 名が、武田薬品が開発に携わったIBD 体験シミュレーションプログラムによりIBD 患者さんの生活を追体験。患者さんの日常生活での苦労や社会的な制約を疑似体験することで、心理的な側面まで実感する機会となります。
講座を受講した学生から、『IBDのことを学び、疾患のある人に対してできることを考えたい』(食環境科学部健康栄養学科3年)、『社会の中で、このような疾患に対する情報が広がっていく取り組みが必要だと感じた』(食環境科学部健康栄養学科2年)との感想がありました。
今後の展開について
東洋大学食環境科学部健康栄養学科の学生は、この公開講座を受け、誰もが安心して生活できる社会づくりを目指すため、IBD 患者さんもおいしく食べることのできる料理メニューを開発し、5 月 19 日世界 IBD デーに発表する予定です。
東洋大学は多様な価値観を学習し理解するとともに、主体的な学びや対話を通じて「哲学する」ことで知見を社会に還元し、地域社会に貢献してまいります。