本学は岩手県盛岡市と連携協定を結んでいます。
そのなかで、IT機器を用いたスマート農業による経営改善を研究する経済学部澁澤健太郎教授が夏イチゴの栽培をする「玉山うるおいイチゴ園」における問題解決に着手しました。
良質なイチゴ生産の決め手となる授粉において、温暖化の影響により授粉役のマルハナバチの活動が鈍くなってしまうことや、ハチそのものの世界的な減少への対応、また作業の効率化を進める手段として軽量小型のドローンの運用に着目し、プロペラ(ブレード)で起こす風を利用して授粉を促す仕組みを開発しました。
およそ3年間にも及ぶ実証実験を経て、一定の成果を得ることができ、この取り組みの様子は、地元盛岡の新聞やテレビで数多く報道されました。
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また、澁澤ゼミに所属する経済学部の学生はドローンでの実証実験に参加する一方で、夏イチゴの利活用について様々な視点から検討。オフシーズンの副収入源の模索やイチゴを使ったレシピコンテストを行って魅力発信を積極的に行いました。
そして、このほど玉山うるおいイチゴ園で育てたドローン技術を利用して栽培した希少な夏イチゴをつかったジャムを作り、東洋大学生協の白山キャンパス店で期間限定販売(2024年11月26日より完売次第終了)することになりました。
経済学部・澁澤健太郎教授のコメント
果樹栽培では受粉者としてマルハナバチを使用することが多く、一般的に養蜂農家からレンタルとして使いますが、世界的な蜂の減少傾向は既に多くの環境団体はじめ国際機関が指摘するところでもあり、そもそもハウス内での受粉作業で使われた蜂は、受粉シーズンが終了すれば死んでしまいます。
こうした情勢に鑑み、小型ドローンを蜂の代わりに使えないかと検討を開始しました。本研究は澁澤ゼミの学生もおおいに関心を持って臨むことになり、多くの課題を発見し実際に令和5年度にはドローンを使っての受粉に成功、令和6年度には自動化に取り組み、ドローン100%によるいちごを東洋大学生協で販売するに至り、これは岩手日報、盛岡タイムス(現在廃刊)、岩手ibc放送でも報道されるに至りました。
航空法改正によりドローン運行が免許化され無人航空操縦士ライセンスを澁澤含め3名が保持することとなりました。
温暖化による影響もあり、米国、カナダでは既にマルハナバチ系を絶滅危惧種に指定、日本でも神奈川県で指定(他複数自治体でも準絶滅危惧種指定)されるなど状況は逼迫してきています。あわせてこうした取り組みは、高齢化や農業人口減少などにも寄与できるものと認識しています。