理工学研究科 応用化学専攻の島田彩未さん、染谷果穂さん(井坂研究室)の2名が日本水環境学会の『年会優秀発表賞(クリタ賞)』を受賞しました。
第58回日本水環境学会年会が2024年3月6日から3日間、九州大学で開催され、博士前期課程(修士課程)の学生による研究発表が行われました。講演要旨原稿の内容に基づく1次審査を通過者した候補者は、口頭発表に加えポスター発表を行いました(2次審査)。ポスター発表の時間では、約2時間にもなりましたが、絶えず訪れる聴講者に対し、簡潔な発表対応を継続して行いました。発表内容・発表態度・質疑への対応などが審査され、参加者による総合的な審査・投票が行われ、約150名の発表者から15名の優秀発表者が選考され、東洋大学から同時に2名の学生が受賞となりました。
日本水環境学会では、研究意欲の増進を目指し、年会において口頭発表を行う博士前期課程(修士課程)在学の学生に年会優秀発表賞(クリタ賞)として、表彰を行っております。クリタ賞は本年で24年目となります。
賞状を持つ島田彩未さん(左)、染谷果穂さん(右)
年会優秀発表賞(クリタ賞)
理工学研究科 応用化学専攻 島田彩未 (井坂研究室)
『発表題目:包括固定化による1,4-ジオキサン分解活性の活性化』
発表内容:
1,4-ジオキサンは発ガン性の疑われる化学物質で、溶剤等に広く利用されています。工場排水中に含まれる可能性があり、環境中に排出される前に、適切な排水処理が求められています。1,4-ジオキサンは、凝集沈殿法や活性炭吸着法などの通常の排水処理方法では、除去が困難であることが知られています。
近年、1,4-ジオキサンを分解し、増殖ができる“1,4-ジオキサン分解菌”が発見され、処理システムでの利用が期待されています。
受賞らは、化学工場の土壌から1,4-ジオキサンを分解する分解菌を集め、ゲルの内部に固定化して(閉じ込めて)、利用する方法を考案し、1,4-ジオキサンが生物学的に分解できることを報告しました。
受賞者掲示版の前にて(島田さん)
年会優秀発表賞(クリタ賞)
理工学研究科 応用化学専攻 染谷果穂 (井坂研究室)
『発表題目:アナモックス担体の活性と色彩変化』
発表内容:
湖沼や内湾等では、窒素成分による水質汚染が、アオコや赤潮の異常発生の一因となっています。そのため、汚染源である窒素排水の適切な処理が必要です。
近年、窒素排水での消費エネルギーを半減できる“アナモックス細菌を利用した排水処理技術”の開発が進められています。排水処理システムの開発では、装置内で、アナモックス細菌がどれだけ増えたか、評価する手法が必要です。
本研究では、アナモックス細菌が特有の赤色を有している特色に着目し、反射光を解析することで、アナモックス細菌の増加を、瞬時に評価する手法を開発しました。今回、アナモックス菌数の変化と色彩の変化を定量的に解析し、有効性を評価しました。
受賞者掲示版の前にて(染谷さん)
島田彩未さん(左)、井坂教授、染谷果穂さん(右)