第3回：東洋大学附属図書館が所蔵する絵本
第3回は「東洋大学附属図書館が所蔵する絵本」です。
意外に思われるかもしれませんが、東洋大学附属図書館では多くの絵本を所蔵しています。
今回は東洋大学が所蔵する数々の絵本を紹介します。
日本では古くは絵巻、絵手本、絵草紙 （えぞうし） などを「絵本」と称していました。
東洋大学の所蔵する古い絵本…絵巻の中には、皆さまにも馴染みの深い昔話「猿蟹合戦」を描いた「猿蟹」というタイトルもあります。
絵を見るだけで、なんとなくストーリが思い出されます。
「絵本」という単語は、時代が経つにつれて、“絵を中心とする子どもの本”を指すように意味が変わっていきました。
そんな絵本の中には「絵を進化」させたものがあります。それは「仕掛け絵本」です。
仕掛け絵本はページを開くと、絵が立体的に飛び出してくることで読者の視覚を大いに楽しませてくれます。
「仕掛け」部分は繊細に作られていることが多く壊れやすいものですが、読者に「物を大切に使う」ことを教えてくれます。
実は東洋大学は多くの仕掛け絵本を所蔵しています。
朝霞図書館では2018年に展示として「しかけ絵本の名作たち」を開催しました。
下の画像はThe Movable Book Society による優れたしかけ絵本に送られる「メッゲンドルファー大賞」の受賞作（主に日本版）です。しかけ部分が緻密で立体的な造りになっているのが写真からも伺えます。
また下の画像は、最近出版されたしかけ絵本の展示です。実際に手に取って楽しめる形で展示されています。
また白山図書館では2021年６月～7月に「絵本展示」を開催し、図書館員のおススメの絵本を紹介しました。
展示の様子、紹介した本のリストはToyoNet-ACE（学内者限定）でご覧いただけます。
展示では「ぐりとぐら」や「はらぺこあおむし」といった誰もが知っている絵本から、心を癒したり、インテリアとして飾ったり、教養をつける目的などで刊行された「大人向けの絵本」など、多くのタイトルが並べられました。
コロナ禍で残念ながら来館者は少なかったですが、その中でもカラフルな絵と色で彩られた表紙に多くの方が、立ち止まって見て頂きました。
最後に、人気のある絵本を探す方法をご紹介します。
白山と赤羽台図書館で配架されている絵本雑誌「MOE」では、毎年2月号で全国の絵本屋さんの投票で決まる「今年もっともオススメしたい絵本30冊」を紹介しています。推薦レビューなども掲載されていますので、絵本選びの参考にすることが出来ます。
また図書館では、過去に何度もMOE絵本屋さん大賞となった人気絵本作家・ヨシタケシンスケさんの絵本の、数は少ないですが、中国語訳されたタイトルも所蔵しています。
多くの人にとって絵本は、子ども時代の短い期間に触れたものだと思います。
しかし絵本はその後の読書の基になり、大人になってからも楽しめるタイトルも増えていることから、年代を問わず楽しむことが出来る図書館資料となっています。
東洋大学が所蔵する絵本はOPACから検索することが出来ます。
東洋大学図書館では、絵本をはじめとした多種多様な種類の図書館資料を揃えて、利用者の皆様をお待ちしております。
＜絵本に関連する図書館資料＞
■図書
～名作絵本～
・宮沢賢治作 ; 柚木沙弥郎絵『雨ニモマケズ』 三起商行 , 2016年
・エリック=カールさく ; もりひさしやく『はらぺこあおむし』偕成社 , 1989年
・なかがわりえこ[著] ; おおむらゆりこ[絵]『ぐりとぐら』福音館書店, 1963年
・A. トルストイ再話 ; 内田莉莎子訳 ; 佐藤忠良画『おおきなかぶ : ロシアの昔話』福音館書店 , 2007年
～しかけ絵本～
・ルイス・キャロル原作 ; ロバート・サブダさく ; わくはじめやく『不思議の国のアリス』 大日本絵画 , 2004年
・マシュー・ラインハートさく ; ささやまゆうこやく『ディズニープリンセスマジカルポップアップ』大日本絵画 , 2016年
・レオナルド・ダ・ヴィンチ画 ; コートネイ・ワトソン・マッカーシー紙工作 ; 井上舞訳『レオナルド・ダ・ヴィンチ : ポップアップで味わう不思議な世界』大日本絵画 , 2019年
・サンテグジュペリ作・絵 : 池沢夏樹訳『星の王子さま : LE GRAND LIVRE POP-UP : TEXTE INT ÉGRAL : ポップアップ絵本』岩崎書店 , 2016年
～絵本研究～
・藤本朝巳, 生田美秋編著『絵を読み解く絵本入門』 ミネルヴァ書房 , 2018年
・松居直著『絵本を読む』日本エディタースクール出版部 , 2004年
・瀧薫著『保育と絵本 : 発達の道すじにそった絵本の選び方』エイデル研究所 , 2018年
・生田美秋, 石井光恵, 藤本朝巳編著『ベーシック絵本入門』ミネルヴァ書房 , 2013年
・灰島かり著『絵本翻訳教室へようこそ』研究社 , 2021年
・神立幸子著『日本の昔話絵本の表現 : 「かちかち山」のイメージの諸相』てらいんく , 2004年
～絵本製作～
・土井章史著『絵本をつくりたい人へ』玄光社 , 2018年
・ジェーン・アービン著 ; 加納真士訳『しかけ絵本の作り方』大日本絵画 , 1995年
・エレン・E・M・ロバ-ツ著 ; 大出健, 椋田直子訳『絵本の書き方 : おはなし作りのAからZ教えます』朝日新聞社 , 1999年
・今井良朗編著 ; 藤本朝巳, 本庄美千代著『絵本とイラストレーション: 見えることば、見えないことば』武蔵野美術大学出版局 , 2014年
・長谷川集平著『絵本づくりトレーニング』筑摩書房, 1988年
～絵本作家～
・竹内美紀文 ; 立花まこと画『石井桃子 : 子どもたちに本を読む喜びを』あかね書房,2018年
・かこさとしの世界プロジェクトチーム [ほか] 執筆 ; 林綾野編集『かこさとしの世界』平凡社 , 2019年
・講談社編『絵本作家という仕事』講談社 , 2012年
・川端有子編著『ケイト・グリーナウェイ : ヴィクトリア朝を描いた絵本作家』河出書房新社 , 2012年
～最新・大人向け絵本～
・ヨシタケシンスケ作『もうぬげない』ブロンズ新社 , 2015年
・ヨシタケシンスケ著/李穎訳『有意见(ふまんがあります)』北京联合出版公司 , 2017年
・ヒグチユウコ絵と文『いらないねこ』白泉社 , 2017年
・エドワード・ゴーリー著 ; 柴田元幸訳『ギャシュリークラムのちびっ子たち : または遠出のあとで』河出書房新社 , 2000年
・ハリー・クロトーさく ; デイヴィッド・クロトーえ ; まえかわとおるやく『ナノってなんなの? : ベンジーとブルーノのぼうけん』冨山房インターナショナル , 2010年
■雑誌
『月刊MOE』白泉社
■電子ブック
・向井 ゆか著『どの絵本読んだらいいですか？』かもがわ出版. 2019年
・和田 直人(編)『手作り絵本ＳＭＩＬＥ ―創る喜びと広がるコミュニケーション―』朝倉書店. 2017年
■貴重書アーカイブ
絵巻物「猿蟹」
※参考：舟崎克彦文 ; 浅賀行雄絵『さるかにがっせん』 小学館 , 2009年
掲載日：2021年9月27日