生理が来るたびに生理痛で憂鬱になり、勉強やサークル活動などに集中できないといった経験はありませんか。生理痛で悩む女性は少なくありません。生理がきても日常生活を普段通りに過ごせるよう、生理痛をやわらげるセルフケアをご紹介します。
生理痛の原因の一つには、子宮を収縮させるプロスタグランディンというホルモンの作用が関係しています。このホルモンの分泌量が多すぎると子宮の収縮が強まり生理痛(下腹部の鈍痛やキリキリした痛み)が増します。月経初日頃におこり、若い人ほどこの痛みが持続します。他には冷えや便秘、姿勢の悪さなどで血液の循環が滞ることで骨盤内がうっ血し、下腹部の鈍痛や腰のだるさがおこります。それ以外に生理に対する不安や憂鬱な気持ち、PMS※によるイライラなどの精神的因子によっても痛みを感じやすくなります。
※PMS(Premenstrual Syndrome)月経前症候群とは?
月経開始の3~10日前より現れる不快な症状で、月経開始とともに減退・消失します。お腹のはり、頭痛、肩こり、下痢、胸のはり、むくみ、肌荒れなどの身体的症状のほか、イライラ、憂鬱、涙もろい、無気力、集中力の低下などの精神的症状があります。
生理痛の第一の敵は冷えです。冷えは生理痛を増強します。下半身を温め、血行をよくすると痛みも緩和されます。
生理痛を軽減するには、心理的なセルフケアも効果的です。
ハーブの種類 | 効果 |
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ジャーマンカモミール | 冷え・痛み |
パッションフラワー | 痛み・不安感 |
フィーバーフュー | 痛み・頭痛 |
ラズベリーリーフ | 痛み・貧血 |
アンジェリカ | 冷え |
生理痛の原因となる症状(冷え、うっ血、便秘)、生理に伴う症状(貧血や頭痛)、PMSによるイライラや抑うつを改善するには、バランスの良い食事を摂ることも大切です。女性ホルモンや血液のもとになる「たんぱく質」と「鉄」、過剰な子宮の収縮を抑え生理痛を緩和させる「EPA」、イライラや抑うつを解消させる「ビタミンB群」を摂るようにしましょう。とかくお肉料理に偏りがちですが、肉に含まれる脂肪がプロスタグランディンの分泌を増加させ、痛みのもとになります。たんぱく質は大切ですが1日一食は魚(特にEPAが豊富なサバやマグロなどの青魚)を摂るようにしましょう。
生理痛の原因となる病気がない場合は、鎮痛剤を使うとよいでしょう。痛みがひどくなる前に、痛み出したら早めに飲みましょう。ただし、痛み止めが効かない、痛みが以前と比べひどくなってきた、経血量が増えてきたなどの症状がある場合は、子宮内膜症や子宮筋腫といった病気が原因の可能性もあります。とくに子宮内膜症は20~30代に多く発症し、ほうっておくと貧血・不妊・流産の原因になってしまうので、早めに婦人科を受診しましょう。
基礎体温をつけていると、排卵の異常や黄体機能は正常なのかなどを知ることができます。また、月経異常(著しい生理不順、出血の持続日数の異常、出血量の異常)や基礎体温に異常がみられた場合、記録した基礎体温表を持って婦人科に行けば、早く確実な診断がしてもらえます。スマートフォンの無料アプリには基礎体温表のほか、次回の生理予定日を教えてくれるなどの便利な機能もついています。
<参考文献>
月経らくらく講座、松本清一監修、2006
日経ヘルス 2013年11月号
2016年4月26日更新