MENUCLOSE

学長メッセージ

画像:竹村 牧男

学長メッセージ

現代の「知」を拓き、地球社会に貢献する大学へ

東洋大学 学長  竹村 牧男
Makio Takemura

東洋大学は、明治20(1887)年に、井上円了博士によって設立された「私立哲学館」を淵源とする大学です。円了博士は当時の、ウエスタン・インパクトを受けて混迷していた日本社会の状況をふまえ、「諸学の基礎は哲学にあり」との教育理念を示し、根源的・論理的な思考を旨とする「哲学」の教育を通じて、民衆の考察力・構想力・判断力等の知力を底上げすることにより、豊かな社会を実現することを目指しました。特に「知徳兼全」を掲げ、自ら考え・判断し・行動できるような、学力のみならず豊かな人間力を具えた人財(社会の財産としての人)の育成に尽力しました。円了博士は、いわば哲学教育による教育立国を国民に広く訴えたのであり、このことは、当時、実業の振興による立国を唱えた教育者が少なくなかった状況の中で、ひときわ異彩を放っています。

東洋大学は、この建学の精神を受け継ぎつつ、皆様のお蔭をもちまして順調に発展し、今や11学部44学科、10研究科32専攻、法科大学院を擁し、学生数が約3万人という、大変大きな総合大学となりました。いずれの学部・研究科等においても、建学の精神に基づいて人財養成の目的や教育目標を定め、物事を自ら深く論理的・体系的に考え、判断し、行動することができる、社会に有為な人財の育成に心を砕いています。

特に平成24年、創立125周年を迎えた東洋大学は、グローバル化・ボーダレス化した時代にふさわしい教育活動の展開をめざし、建学の理念に関わる「哲学教育」、時代の要請に応える「国際化」、学生の一人ひとりの真の自己実現を支える「キャリア教育」の3つの柱を掲げ、それらのいっそうの充実・強化をはかる教育改革に取り組んでおります。中でも「国際化」については、国際的通用力をそなえた教育活動の展開、国際的研究交流の活性化等に努めています。このところ、海外の協定校も飛躍的に拡大し、国際哲学研究センター、PPP研究センター、バイオ・ナノエレクトロニクスセンター等々、国際的に展開する研究活動も大いに活発になりました。その一例に、創立者の井上円了の思想と事績を広い視野から再評価する「国際井上円了学会」の設立(平成24年9月)を挙げておきたいと思います。

こうして、現在の東洋大学は、全学生に21世紀のボーダーレス化した地球社会を生き抜く力を身につけていただくこと、就職先の国外・国内を問わず先端的な国際感覚・国際常識を身につけていただくことを、最重要の課題として全力を注いでいます。幸い、平成26年に文部科学省による「スーパーグローバル大学創成支援」に採択され、英語による授業の拡大、海外研修やインターンシップの充実、留学生の派遣、受入の増加とキャンパスの国際化等を鋭意進めています。これらを通じて、基礎学力・専門学力・語学力・社会人基礎力・異文化理解活用力・自国文化理解発信力等を十全に備えた、健全な市民社会、公正な地球社会の建設に貢献できる人財を輩出し、大学の現代社会における使命を果たしていく所存です。

現代の地球社会には、環境問題、格差や貧困の問題、地域紛争の問題等、多くの危機的な問題が横たわっています。加えて日本では平成23年3月の東日本大震災により、被災地域の創造的復興、日本の再建等の重大で緊要な課題が存在しています。東洋大学の研究活動は、これらの諸課題に真摯に取り組み、未来世代の人々の豊かな生活を保証するための問題解決に寄与できるように、真剣に取り組んでいます。そしてこの研究活動を、学生の教育活動にも適切に還元してまいります。

また、井上円了が当時目指したもう一つの眼目は、広汎な人々に学習機会を提供することでした。哲学館においては館外員制度という、今日の通信教育に相当する教育方法をいち早く創造しました。今日の東洋大学もその精神を継承して、イブニングコースの教育、通信教育、公開講座等のみならず、本学の負担で講師を全国どこにでも派遣する事業「講師派遣事業」を展開するなど、さまざまな条件の中でも大学教育が受けられるよう、また生涯学習の場を持つことができるよう、多彩な学習と研究の機会を提供しており、この体制は堅持・発展させていきたいと思っています。また、平成25年度からは「井上円了哲学塾」を発足させ、充実した講師陣のもと、若きグローバル・リーダーを養成しています。なお、東洋大学は、大正5年に日本の私立大学において初めて、女性にも門戸を開きました。平成28年には、この女子教育100周年を迎えますので、記念行事を催すとともに、今後さらに男女共同参画社会の実現を大学全体として強力に後押ししてまいる所存です。

現在、キャンパスが白山・朝霞・川越・板倉にありますが、どのキャンパスにおいても、地域社会との密接な連携をはかり、学生も教職員も地域住民との豊かな交流を推進して、地域社会のコミュニティの発展に貢献できる大学をめざしています。

こうして東洋大学は、伝統に誇りを持ちつつ、一方、時代の多様なニーズに深い地平において応えうる、さまざまな「知」の展開、先端的な「知」の開発をも心がけ、大学全体として、現代に問われている学術の推進と時代即応の人財育成という社会的使命(ミッション)を果たして行く所存です。

以上、現在の東洋大学がめざすところの一端を紹介させていただきました。私は、平成24年11月3日、創立125周年記念式典において、次のような未来宣言を発表しました。「東洋大学は、「哲学すること」の教授を根本として、世界標準の教育・研究・社会貢献活動を推進するのみならず、国際的に優れた水準の大学の実現を目指し、役員・教員・職員・学生のすべてが一体となって、卒業生ともども奮闘努力してまいります。今日、未来へ旅立つこの日を胸に刻み、創立者・井上円了先生の崇高な理想を次世代へと届けることを喜びに、地球社会の未来に貢献する大学の確立を求めて、私たちの手で新しい歴史を創出し、進化し続けていくことを誓います。(創立125周年記念式典「未来宣言」)」私どもは今や、ポスト125周年、あるいは創立150周年に向けて、長期ビジョンを自覚するとともに、今後もさらに向上し、さらに発展できるよう、ソフト・ハード双方の教育・研究環境のいっそうの整備・充実を実現してまいる所存です。多くの方々が、この大学にさまざまな形で集うて、互いに切磋琢磨し、ともに地球社会の発展に貢献していくことを、心から期待しています。

平成27年9月11日   
東洋大学長 竹村 牧男