Q. 日本語教員養成プログラムを受けようと思ったきっかけを教えてください
大学1年生から3年生の春にかけて、日本語教員養成プログラムを受講しました。
大学入学前から世界や日本の文化、歴史に興味があり、海外の人々と交流してみたいという思いもあったことから、日本語教員養成プログラムの説明会に参加しました。日本語教育に関する知識はほとんどありませんでしたが、日本語を教えることができれば世界中の人たちと交流することができ、日本語や日本文化にも詳しくなれそうだと思ったことから、受講を決めました。資格取得に繋がるという魅力もありました。
Q. 日本語教員養成プログラムで学んだことを教えてください
高校まで受けてきた英語の授業では、先生が日本語で英文法などを教えてくださいました。しかし、日本語教員養成プログラムで学ぶのは、日本語だけを用いて日本語を教える方法です。日本語がわからない人にとって、日本語だけで日本語を学ぶというのはとても大変なことです。そのため、どのように教えれば理解してもらえるのかを考えるのは、面白い反面、とても大変でした。授業の案を作って発表しても、プログラムの先生から「これでは学習者に伝わらない」とご指導を受けることも多かったです。その度に、どうすれば伝わるのかを考えました。
プログラムで学んだのは、単に日本語を上手に教える方法だけではなかったと思います。今思い返せば、日本語を学んでいる人々に対して敬意を払い、相手の背景を知り、自分の頭で考えながら答えを導く方法を学んでいたのだと思います。日本語教員養成プログラムで学んだ3年半は決して楽ではありませんでしたが、一緒に受講している仲間たちと案を出し合いながら試行錯誤した時間は、私の大学生活の宝物です。
また、日本語教育の現場について知る機会が多くあるのも、東洋大学の日本語教員養成プログラムの魅力だと思います。日本の日本語学校で学ぶ外国人留学生との交流機会や、現職の日本語教師の方のお話を聞く機会、海外の日本語学習者との交流や文化紹介の機会など、大学外の人々と関わる機会が多くあります。東洋大学の協定校であるウズベキスタンの大学から現地の先生がいらっしゃったときには、ウズベク語の挨拶や歌を覚えてお迎えしたのも良い思い出です。
Q. それを現在どのように生かしているか、プログラムを受講する後輩へのメッセージをお願いします
大学卒業後、縁あって中央アジアのウズベキスタン共和国の大学にて、日本語を教える機会をいただきました。5か月間という短い期間でしたが、現地の先生方や大学生、ホームステイ先の家族などに大変親切にしていただき、とても充実した時間を過ごすことができました。
教育実習以外で日本語の授業をしたのは、このときが初めてでした。初めての授業が終わった後は、自分の授業が理想とかけ離れていることを痛感し、不甲斐なさに誰もいない教室で泣きました。しかし、大学時代に厳しく丁寧にご指導いただいたからこそ、自分の至らなさに気付くことができたのだと思います。
一方、学生たちはそんな私を「先生」と呼んでくれました。授業中には競うように発言し、覚えた日本語で私を助けてくれたり、ウズベキスタンの文化を教えてくれたりしました。また、日本にいては決して感じることのないような様々な刺激も受けました。そんな学生たちに日本語を教えることはとても楽しく、どうすれば学生たちが楽しんで授業を受けてくれるかを、必死に考えました。
そのような経験を通して、私はウズベキスタンという国が大好きになりました。また、私がウズベキスタンで不自由なく過ごし、たくさんの貴重な思い出を作ることができたのは、現地の方々が膨大な時間を費やして日本語を学んでくださっているおかげだと思います。非常にありがたく感じたと同時に、いつかこの恩を返したいと思いました。
帰国後、一般企業で数年働きました。現在は、再び日本語教育に携わりたいという思いと、日本に住む外国にルーツを持つ人々との共生のために研究をしたいという思いで、東洋大学の大学院に通っています。
大学で日本語教員養成プログラムを受講したことは、私の世界を広げ、世界と日本について考える機会をくれました。今では、私の人生の財産になっていると感じています。
これからプログラムを受講する人には、ぜひ失敗を恐れずにたくさんのことを経験してほしいです。そのときは、ぜひ一緒に頑張りましょう。
掲載されている内容は2025年6月現在のものです。
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