中高時代の私は、国語と古典が大嫌いでした。「朝食を学問せよ」と問われたように感じていたからです。しかし、ある日ふと、思いました。身近なものこそ学問として捉え難いのでは、と。「言葉」に興味が湧いたのは、この瞬間です。今は、古典文学文化を専攻し、和歌について探究しています。巧みな言葉遣いと、鼓膜を介して広がる世界に陶酔したからです。学ぶ度に分析力の向上が実感でき、自身の成長に感動しています。今後は、原典から私なりの解釈を見いだせるよう、励みたいと思っています。
また、挑戦する人々の支援がしたいと思い、現在は奈良県にある中小企業の経営支援ボランティアをしています。活動では主に、国から補助金を得るための経営計画書・補助事業計画書の作成を担当しています。文章力が要求される過程にあたるため、この大学で培ってきた力すべてを発揮し、今後も精力的に携わりたいと考えています。
加えて、私は大学の嘱託職員として働きつつ夜間学部で学ぶ「独立自活奨学生」です。大変充実した生活を送る一方で、焦りや不安に苛まれることもあります。息苦しさに耐えかね、涙が止まらない夜もあります。しかし、独り雨に打たれるわけではありません。職員・先生・友人たちが、傘を差しかけてくれます。独りぼっちではありません。自分自身への期待を胸に、これからも成長し続けたいと思います。
私は、「哲学すること」とは思考の継続だと捉えています。先日、知人から「文学なんて役に立つのか」と問われました。確かに、すぐに役立つかは不明です。しかし、「役立つ」という感覚の在り方の選択が、「学問分野」というカタログから出来るのでしょうか。不器用なりに思考した結果「ある物事に対する見方が異なるだけで、環状線から外れた学問はない。役立たせるかは己次第である」という結論に至りました。ゆえに私は文学という視点からあがき、掴み、伝えます。この貪欲な姿勢が学問することであり、役立つ学問への道だと信じています。
進学を諦めていた私へ、東洋大学は学問する喜びを与えてくれました。学びたい、という方へ。供給があふれるこの社会で、あなたにも素敵な未来が訪れますよう、心から願っています。
掲載されている内容は2023年9月現在のものです。
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