Q. 修士論文は学年トップの評価だったそうですが、どのような研究をしていますか?
「アカパンカビの酸化ストレス応答の仕組み」を研究しています。アカパンカビは、糸状菌類のモデル生物といわれている微生物で、遺伝情報がすべて解明されているという点で扱いやすい微生物です。カビというと、チーズや醤油の発酵等を連想するかもしれませんが、そういった種類のカビではありません。人にも無害なので、モデル生物としてよく使われています。そのアカパンカビを使い、カビが酸化ストレスにさらされる状況での反応を研究しています。この仕組みが分かると、稲などの植物を発病させる植物病原菌への対処法が解明できるんですよ。
Q.そうした微生物に興味を持ち始めたのはいつ頃からですか?
高校生の頃は、勉強は苦手でしたが、生物の授業だけは興味が湧き、意外と成績も良かったので、大学では生物系を専攻したいと思い、本学を選びました。学部の4年生の時にこの研究室に入りましたが、学部卒業時には、まだまだ研究途上。もう少し続ければ結果が出せるのではないかと思い、大学院進学を決めました。先生はもちろん、先輩も後輩も優秀ですし、設備も充実しているので、本学大学院以外での研究は全く考えませんでした。
Q.4月から稼動している新実験棟(5号館)について教えてください。
モダンな外観の大規模な実験棟です。この建物ができる前は、2つの研究室で1つの実験室を使用していました。1部屋の広さは今と同程度ですが、新棟ではそれぞれの研究室ごとに実験室が割り当てられていますので、広さはこれまでの約2倍。いうまでもなく、研究がはかどります。光学機器などの設備も最新機器が多く、研究環境は素晴らしいと思います。実験室が利用できるのは、朝8時から夜10時まで。実験が続く時には延長申請することもあります。それから、この実験室の隣には、“コラボレーションルーム”と呼ばれる部屋が設けられ、実験の合間に資料調べや論文作成に、とても便利で快適です。この部屋は、2つの研究室の共有スペースなので、情報交換の場にもなっています。
Q.先生とのコミュニケーションはいかがですか?
先生は、実験室に来て細かく学生に指示を出すというタイプではなく、僕らの研究を見守りながら、必要に応じてアドバイスをしてくださいます。研究室のルールとして、帰り際には必ず先生の研究室へ顔を出し、研究の進行状況の報告や相談などを行います。これにより、先生との緊密なコミュニケーションをとることができますし、お忙しい時にも論文指導やさまざまな質問に丁寧に答えてもらうことができるので助かっています。
Q.板倉キャンパスではスポーツ大会も行われるそうですね?
はい、新入生歓迎スポーツ大会が5月に開催されます。綱引きやドッジボール、フットサルなどいろいろな種目があります。僕たちは大学院生チームをつくります。板倉は生命科学部・研究科だけのキャンパスですが、昨年から学部の1年生が3学科体制になったため、1年生の人数が一挙に3倍の約400人に増えました。今年も新入生が入学し、キャンパス全体の学生数は1,000人くらいになりました。これまで以上に盛り上がりそうです。大学院は研究主体ですから、普段は静かでまじめな雰囲気ですが、スポーツ大会や10月の大学祭では大盛り上がりです。僕は盛り上げ役を買って出て、大いに楽しんでいます。
板倉ではサークル活動も盛んで、バスケットボールやフットサル、音楽バンド等がありますが、今いちばん盛り上がっているのは大道芸サークルです。食堂の裏の芝生で、よく練習しているのを見かけます。ここには多目的グラウンドやサッカー場、テニスコート、サークル部室棟などもあり、設備が充実しています。広々としたキャンパスで、大学院生活を謳歌しています。
Q.今後、学会発表なども予定されていますか?
近々予定されている学会としては、日本農薬学会があり、北海道で開催されます。また、今年は11月に広島で糸状菌学会が開催されますが、これは糸状菌の研究を行っている研究者たちが一堂に会して発表する場で、とても勉強になる学会です。生命科学研究科は、学会参加が非常に盛んで、参加者は先生と研究室の皆で話し合って決めます。もちろん僕も参加を考えています。
本学には、学会参加の奨励制度があり、参加者にとっては励みになりますし、十分なバックアップ体制が取られていると思います。学会参加にあたっては、月に1回研究室内で行われる研究発表が、プレゼンテーションのいい練習の場になっています。まだはっきりとは決めていないのですが、将来は研究職に就きたいと思っています。現在取り組んでいる農薬関係の研究職に就くのが一番の希望です。今は、その目標に向けて精一杯、頑張っています。
掲載されている内容は2010年5月現在のものです。
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