2025年4月9日(水)
新入生を歓迎するような満開の桜のもと、第12回入学式を挙行し、新入生を迎えました。校門や桜の下では晴れやかな笑顔で記念撮影をする姿が多く見られました。新入生は、東洋大学附属姫路中学校の生徒として過ごす日々が始まることに胸を膨らませ、希望に満ちた表情で入学式に臨みました。
第12回入学式


はじめに新入生全員の名前が読み上げられ「はい」と元気のよい返事で起立し、全員の入学が許可されました。そして学校長からの式辞に真剣に耳を傾けました。
学校長式辞

理事長告辞
東洋大学常務理事の寺田信幸が告示を述べました。
新入生代表 誓いのことば
新入生代表が誓いのことばを力いっぱいに述べました。入学式を迎えた心境や周りの人への感謝、そしてこれから東洋大姫路で過ごす6年間への期待と意気込みなどを宣言しました。
来賓祝辞
中学育友会会長様からお祝いの言葉をいただきました。
たくさんのメッセージもいただきました。
初めてのホームルーム
入学式後にはクラスごとに分かれ、各クラスの担任による初めてのホームルームが開かれました。
学校長式辞(全文)
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式 辞
桜花らんまんたる今日の佳き日、来賓の方々や保護者の皆様方多数のご列席を得まして、本校の入学式を挙行できますことは、誠に喜びにたえないところであります。
新入生の皆さん、本校への入学おめでとうございます。「春風や 闘志いだきて 丘に立つ」、明治から昭和にかけての俳人・高浜虚子の句です。本日の皆さんの心境を語るのに、最もふさわしい句と思います。ここ書写の麓、わが東洋のキャンパスに「よしやるぞ」という決意を持ってすっきりと立ち、青春の情熱を思う存分燃やしてください。教職員一同、心より皆さんの入学を歓迎いたします。
さて、本校は明治時代の哲学者・井上円了が設立した「哲学館」をルーツとする東洋大学の附属高校として、1963年にこの姫路の地に誕生しました。以来、地域の皆様に愛されながら、また多くの同窓生の皆様のご支援を受けながら、地元になくてはならない存在として着実な歩みを続けて参りました。この春の野球部の甲子園出場の際の盛り上がりが、これを象徴しています。そして、満を持して2014年、附属中学校を開校、さらに2022年からSPコースとSAコースの二コース制を導入しました。今年度の大学入試では、京都大学に2名、大阪大学に2名、九州大学に2名、防衛医科大学に1名の合格者を出すなど、着実にその成果は現れてきています。
西洋のことわざに「艱難(かんなん)汝を玉にす」という言葉があります。苦難や壁を乗り越えることはたいへんですが、人生経験の少ない中学生の皆さんだからこそ、艱難辛苦が必ずや自らの成長へと導いてくれるはずです。中学生も高校生も、SPコースもSAコースも、皆同じ「東洋の子」です。様々なバックボーンを持っている仲間と積極的に関わり、切磋琢磨をしながらお互い良い刺激を与えあって、本校の校訓である「友情」を育んでもらいたいと思います。
本校の教育理念は、学祖・井上円了が述べました「諸学の基礎は哲学にあり」です。哲学とは、物事の本質をとらえる学問、物事の真理を探究する学問のことです。ですから、本校では、授業・部活動・学校行事など教育活動すべてにおいて、「考えるを、学ぶ」、「自ら考え、自ら選択する」ことを重視しています。
ということで、中学生の皆さんには、ぜひとも知的好奇心を燃やしてもらいたいと思います。知らないもの、未知なるものに出会った時、「なぜ?」と疑問を持ち、そして納得ゆくまで追求するのです。単に教えられたことを機械的に覚えるだけでは、自分で問題を解決する真の学力は身に付きません。なぜだろうと疑問を抱く知的好奇心があれば、そこから本当の勉強が始まります。こうした勉強は、知性豊かな人間となるためには絶対に必要なことであり、これがまた、「英知」を校訓としている本校で学ぶ意味でもあります。
その際、勉強について、一つだけ考えてほしいことがあります。イソップ物語の「ウサギとカメ」の話です。ウサギが昼寝をしたから負けたということになっていますが、実はカメにとっては、競争相手はウサギであろうとチータであろうと誰でもよかったのです。カメは一生懸命向こうの山のゴールだけ見て頑張りました。一方、ウサギはカメの動きばかりを見ていたので、じゃあ一休みするかと昼寝をして負けました。向こうの山まで競争という目標のことを考えずに、相手のことばかり考えていたから負けたのです。勉強も同じです。よきライバルは必要ですが、自分の立てた目標に向かって努力するのが勉強であり、このことはこれから本格的な勉強をするにあたって、よく考えてほしいことです。
また、本校では単なる知識の詰込みではなく、人間性を磨き、社会で活躍する力を身につける教育を行っています。これが本校の教育の柱である「キャリアフロンティア」で、「哲学」を土台に、「探究」、「グローバル」の三要素から構成されています。探究活動を通じて自分の進路を発見したり、グローバル教育を実践する中で海外の大学に進学したりする生徒もいます。
ここで、保護者の皆様に一言申し上げます。本日はおめでとうございます。厳しい中学受験を勝ち抜いて、よくぞここまで育ってくれた、という感慨もひとしおだと思います。今日は巣立ちの日、お子様はこれから中学・高校での六年間を通して、本校の校訓である「自立」への道を歩まれることになります。どうか、付かず離れずくらいの距離をおかれて、お子様の歩まれる姿をしっかり見つめられ、時には温かく励まし、時には毅然とした態度で指導していただきたいと思います。
最後に、新入生の皆さん、志を高く掲げましょう。志とは、将来にかける思いであり、気概です。皆さんは、中学・高校生活6年間の延長線上に、どのような人生を生きるか考えていますか。生きるとは学ぶことであり、学ぶとは社会に貢献することです。どのような職業を選び、社会にいかに貢献するかということを、ぜひ考えてみてほしいと思います。自己の人生をいかに生きるか、自分の進路について真剣に考えることが志を高めることであり、このことは中学・高校生活を充実させることにも繋がります。「春風や 闘志いだきて 丘に立つ」、東洋での6年間が、皆さんにとってかけがいのない6年間になることを心から祈念して、式辞といたします。
2025年4月9日
東洋大学附属姫路高等学校長 上田 肇