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理事長

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学校法人 東洋大学 理事長 安斎 隆

メッセージ

『コロナ禍の下で苦悶する学生への期待』

新型コロナウイルスとの闘いで、ひところの恐怖感が薄れてきたのは慣れのせいでしょうか。しかし有効な決め手となるワクチンを手にするまでは安心できないようです。「感染しない」、「感染させない」ためには「手洗いとマスクの着用」、「ソーシャル・ディスタンスをとる」というのが基本中の基本なのですね。専門家によると、なんとウイルスは細菌でも細胞でもなく、直径は細菌の10分の1以下と小さく、他の生物に感染して自己複製することから、生物と無生物の境界といわれます。しかもウイルスは人類より遥かに古くから存在し、人類のDNAの約4割はウイルスとその類似配列で占められており、人類に良いこともすれば、悪いこともするというのです。もともと人間が挑んで勝てる相手ではないのですね。どうやら「withコロナ」という形で、人類は今後どのように生きていくかが問われているようです。

本学はこれまで終始、学生の皆さんの目線で経営を行ってきました。キャンパスを閉じ、先生やご友人たちと口角泡を飛ばすような形の切磋琢磨をさせてあげられないことは断腸の思いでした。しかし私は学生の皆さんの将来を決して悲観しておりません。私自身の過去の出会いから申し上げると、学生時代には第二次世界大戦に学徒出陣を余儀なくされた先生たちに教えられ、就職してからは学徒出陣し沈没せんとする「戦艦大和」から九死に一生を得て帰還した上司の下で働きました。このように戦争によって学業の中断や放棄をせざるを得なかった彼らを「戦中派」と呼んできました。私にはこの世代は、深い洞察力を持った人間性溢れる魅力があり、戦後復興の中核となって活躍し、未だに尊敬の念を禁じえない存在でした。彼らとの連想から今の学生諸氏は「新型コロナウイルス戦中派」と呼ばれるようになるのではないかと思っております。新型コロナウイルスの感染拡大とともに、入学式は吹っ飛び、海外留学先から急遽帰国を余儀なくされ、キャンパスは閉鎖されて全面オンライン授業に転換し、就職活動も企業の先行きの展望が不確かな中オンライン面接で進む等、これまでとは全く違った世界となってしまいました。しかし学生諸氏が悩み、苦悶し、考える毎日は決して無駄にはなりません。この体験はこれから先も、自らが他者の役に立つ強靭な人間になるために自らを磨いていく過程へと繋がっていくからです。政治や経済、人間の働き方や生き方は、わが国だけでなく全世界的に大変化していくような予感が致します。この“コロナ戦中派”は世界中で数億人と大きな層をなしています。この共通体験をした世代は新しい次の時代を築いていく中核的存在として協力し行動していくと思われます。私はそのようになることを確信し、限りない期待を持っております。

2020年9月18日

略歴

1963(昭和38)年4月

日本銀行 入行

1994(平成6)年12月

日本銀行 理事

1998(平成10)年11月

日本長期信用銀行 頭取

2000(平成12)年 8月

株式会社イトーヨーカ堂 顧問

2001(平成13)年 4月

株式会社アイワイバンク銀行(現 株式会社セブン銀行)代表取締役社長

2009(平成21)年12月

学校法人東洋大学 理事(現在に至る)

2010(平成22)年 6月

株式会社セブン銀行 代表取締役会長

2018(平成30)年6月

株式会社セブン銀行 特別顧問(現在に至る)

2018(平成30)年12月

学校法人東洋大学 理事長