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東洋大学で学びませんか? 東洋大学の生涯学習

創設者井上円了の「大学の外に知を届ける」という志を今の時代へ。
社会で経験を積んだ人々が再び学べる場を、
その目的に応じて幅広く提供しています。

今求められる「生涯学習」とは

矢口悦子 / 文学部教授
矢口悦子

あなたの経験が、大学の知と出会った時、
その相乗効果は、あなたが次に進む力となる。

矢口悦子

今リカレント教育という言葉が話題になっているように、生涯学習について改めて注目が集まっています。しかし世の中が本当に求めている生涯学習は、いわゆる「学びなおし」だけではなく、基礎教育を終えて社会に出た方が、新たな目的のために別の学問や知識を学ぶことで成長し、それを再び社会で活かすような学び方のことだと考えます。
今の時代は変化が激しく、誰もが知らないうちに最先端を追い続けなければならないというプレッシャーを感じているかもしれません。確かに時代を追うことも必要なことですが、一方で、あえて自ら立ち留まり、これまで蓄積してきた経験を「掘り下げる」作業も大切なのではないかと考えます。生きてきた中で得た知識や経験を、大学という場所で、私たち研究者とともに見つめる。そうすることで、今の社会が欲している様々なヒントを見つけることができるのではないでしょうか。偉大な発明は突然現れたわけではありません。発明者たちは自身の経験をアレンジしたり、修正することを通じて、ブレイクスルーのヒントを見い出してきたはずです。急がば回れ、ではないですが、もし「今のその先」に進みたいとお考えなら、これまでをゆっくり振り返る場として母校を利用してみてはいかがでしょうか。
東洋大学への戻り方としては、大学院への入学、学部への編入、公開講座への参加などがあります。就職してから違う領域を目指したい方、自身のキャリアをレベルアップさせたい方など目的は様々です。最近では、これまで自分がやってきたことを整理したい、意味づけ直したいといった、定年後の方の受講も多く見られます。社会人の方の受講は私たち教員にとっても刺激的です。実践者と研究者という異なる立場で交わす議論は、授業を学生と先生という関係で聴いたかつての学びとは違うおもしろさがあると思います。また、その様子を見た現役の学生たちは、学びのあるべき姿を実感してくれるでしょう。このように皆さんがもたらす影響は、大学全体にとってもすばらしいものとなります。大学で培った知を社会に還元することは、井上円了先生の志であり、東洋大学建学以来の大切なミッションです。もう一度東洋大学の学生として、母校の門をくぐってみませんか。教職員一同、心からお待ちしています。

体験者インタビュー

税理士として生きていくための
本当の力が身についた。

小堀弘毅さん / 2017年 法学研究科 公法学専攻修了
若狭茂雄税理士事務所勤務
小堀弘毅さん
小堀弘毅さん

学部卒業後、一般企業に就職しましたが、税理士資格の取得を目指して退職。1年の専門学校時代を経て、母校の法学研究科に戻りました。経営学部卒なので異分野でしたが、当時の先生や職員の方が相談に乗ってくださり、安心して再入学することができました。正直言うと、復学の最大の目的は試験免除でした。論文を書いて卒業すれば5科目中2科目の試験が免除になるからです。ただ、振り返ると、2年間の大学院生活は私にとってかけがえのない時間になりました。大学院で資格をとった人は、試験を受けた人に比べて苦労知らずといった雰囲気がなんとなくあるのですが、担当の教授はそう見られてほしくないという気持ちを強く持った方でした。論文を書いた人は、書いた人なりの自信、プライドを持って税理士になってほしいと。したがって指導はたいへん厳しく、書き上げても次、次といった具合に、絶対にOKをいただけませんでした。書けども終わらない状況に、専門学校で勉強している方がどれだけ楽か、と思ったこともありました。しかしその中で得た、つねに法律の原典に立ち戻って検証する姿勢は、今の実務でとても役に立っています。当時の同級生と話しても、「つらかったが今は感謝しかない」という声をよく聞きます。
現在は残りひとつとなった試験の勉強をしながら、税理士事務所で補助業務を行っています。クライアントに出向くこともありますが、質問に即答できない自分に歯がゆさを感じることも多々あります。将来は法律に基づきながらも、クライアントの要求にも応えられる税理士になれればと思います。
かつての私のように大学院進学に際し、むしろ遠回りになるのではないか、と思う方の気持ちはわかります。ただどこに行っても、結局は覚悟の問題。おかれた状況でどれだけ頑張れるかだと思います。迷っても仕方ありません。迷う前に進めばいいし、自分で決めれば、頑張れるはず。私は自分の選択に後悔はありません。

プロ野球選手から教員へ。
新しい夢への資格を掴むために。

三浦貴さん / 2001年 経営学部 商学科卒業
浦和学院高等学校 社会科教諭
三浦貴さん
三浦貴さん

9年間のプロ野球を引退して教員になることを決めたのは、高校と大学ふたつの母校のご縁からでした。将来を迷っている時、浦和学院高校の恩師である森先生から「野球部のために力を貸してほしい」と声をかけていただきました。「ぜひ力になりたい」と思い、教員免許取得を目的に、社会人の科目等履修生として東洋大学に戻りました。私にはもともと将来の夢がふたつあって、ひとつはプロ野球選手、もうひとつは教師でした。ひとつの夢が終わったタイミングで、恩師からもうひとつの夢に挑むチャンスを与えていただけたのは、とてもありがたかったですね。科目履修は2年間。今思えば学部時代の4年間と比べて充実感が違いました。学部時代は正直、野球一色(笑)。もちろん真剣でしたが、2度目は目的が明確な分、授業を受けていても身体が吸収する感覚がありました。通学は運送会社でバイトをしながら。時間的にはタイトな生活でしたが、物流という社会の動きを肌で感じることができたのは良い経験でした。プロ野球はある意味特殊な業界。そこでは得られなかった世の中の感覚は、教員としての指導に役立っていると感じます。
浦和学院高校に着任して今年で8年目。学校では3年の担任として政治・経済を教え、放課後は野球部のコーチとして汗を流す毎日です。浦和学院高校は甲子園出場経験も豊富な全国屈指の強豪校。教員業務とコーチ業を兼任する毎日は想像以上に多忙です。経歴を生かしてコーチだけ、という生き方もあるかもしれませんが、私はそれをしたくありませんでした。学校と部活の両方で生徒たちと触れ合うからこそ、彼らの人柄がわかり、それが指導やチームづくりに生きてくるからです。基本的に野球に本気の生徒たちばかりなので、部活の時に一生懸命なのは当たり前。むしろ普段の生活の中にその子の本質が現れる。何事にも真面目だったり、気が利いたりする子は、チームの信頼も厚いですし、「ここぞ」という時に結果を出してくれる。そこを見極めることも自分の仕事なのかなと思います。高校生相手の毎日は、1日も同じ日がなくて刺激的。母校への恩返しに自分の夢を重ねて、これからも生徒たちと共に成長していければと思います。

多忙な業務のかたわら
人生のうるおいを求めて。

羽田成子さん / 1995年 文学部 国文学科卒業
株式会社晶文社勤務
羽田成子さん
羽田成子さん

現在エクステンション講座の「『源氏物語』全巻を読む」を受講しています。全8回ですが、今期扱うのは「総角」「早蕨」と「宿木」の途中まで。全五四帖を学ぶロングラン講座で、数年前から参加しています。きっかけは講師の河地先生とある会合で『源氏物語』についてお話した際、私が考えていた世界とは違うと感じて興味を抱いたからです。『源氏物語』が描く世界は華やかなだけだと思っていたのですが、光源氏が没する後半は、むしろ人間の陰を描いていて、現代に通じるテーマだと感じました。ちょうど講座が物語の後半にさしかかるところから参加して今に至ります。講義では原文を音読したのちに解説を聴くのですが、時代背景や当時の生活様式などについて、時に深く、時に脱線しながら(笑)お話いただけます。内容はある程度上級者向き。実は他大学の講座も受けたことがあるのですが、入門編で物足りなかったり、話が一方的だったのが不満でした。その点、本講義の内容や教え方は、自分の趣向に合っており、続けている大きな理由になっています。今回の講義が終わると残りは五帖あまり。引き続き受講する予定です。
普段は出版社に勤務し、教育系書籍の編集などを行っています。講義は仕事を終えた後、繁忙期は遅刻することもあるのですが、急いで駆けつけています。忙しいのにどうして?と言われることもありますが、一言でいうと「楽しいから」。私は国文学科の卒業生なのですが、当時学んだ文学的知識が無になるのはもったいないし、何より学ぶことが楽しい。知的欲求の充足と、気づきを得た瞬間の気持ちよさは、「学ぶ」というより「遊ぶ」に近いかもしれません。仕事を一生懸命頑張るのはすばらしいことだと思いますが、私はそれだけだと不完全な気がしていて、仕事と趣味の両方が充実してこそ満足できる。その片方が今の私には『源氏物語』でした。これから秋期講座が始まりますし、無料のものもあるので、何かしらご興味のある方は、一度、参加されてはいかがでしょうか。人生のうるおいが見つかるかもしれませんよ。