For Alumni スポーツは「遊び」が原点。子どもたちには楽しんでほしい。 サッカー部男子部門監督 井上 卓也

TOYO SPORTS INTERVIEW

東洋大学 サッカー部 男子部門
井上 卓也 監督

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Profile
いのうえ・たくや/
兵庫県出身。大阪体育大学を経てドイツ・ケルン体育大学へ留学(BC EFFERENに所属)。帰国後はジェフユナイテッド市原(現 ジェフユナイテッド市原・千葉)、ブランメル仙台(現 ベガルタ仙台)、大宮アルディージャ(現 RB大宮アルディージャ)にてトップチームやユース世代の指導者として活躍。U-18シンガポール代表監督を経て、2020年より東洋大学サッカー部男子部門監督を務める。

スポーツは「遊び」が原点。
子どもたちには楽しんでほしい。

一昨日はインカレで初優勝。昨年の天皇杯ではJ1チームに連勝するなど目覚ましい活躍を見せる東洋大学サッカー部男子部門。
チームを率いる井上監督が選手への思い、未来を担う子どもたちの育成について語りました。

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戦績

伸びる時期は一人ひとり異なる。

J1勢に連勝したことが選手の大きな自信に

サッカー部男子部門は昨年の天皇杯でJ1勢を連破し、大きく躍進しました。当時のチーム状況や、連勝が選手たちに与えた影響についてお聞かせください。

 本来、天皇杯に出場するためには東京都の予選を勝ち抜く必要がありますが、一昨年の全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)で初優勝を果たしたことで、アマチュアシード枠として天皇杯に出場することができました。一回戦の仙台大学戦に勝てば、J1リーグで上位争いをしていた柏レイソルと対戦できる。大会前はそこが選手の大きなモチベーションになっていましたね。

 実際に柏レイソル戦では、選手が「この試合に懸ける」という気持ちを全面に出し、最高のパフォーマンスを発揮してくれました。続くアルビレックス新潟戦にも勝つことができましたが、スタジアムの雰囲気やサポーターの声援など、普段は味わえないさまざまな要素が選手の力を引き出してくれました。そして何よりも、大学から応援ツアーバスを出していただいたり、各キャンパスでパブリックビューイングを開催してもらったことが、選手にとって大きな力になったと思います。残念ながらベスト8には届きませんでしたが、大学チームがJ1勢に二勝したのは史上初の快挙。選手は自信につながったと思いますし、特に当時の四年生からは「次こそは頂点に立つ」という強いエネルギーを感じました。約二か月後に開催された「総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント」は過酷な連戦でケガ人も出ましたが、接戦を勝ち切り、見事に初優勝を成し遂げてくれました。選手は本当によくやってくれたと思います。

天皇杯

学びにもしっかり向き合い夢を目指してほしい

指導者として豊富な経験をお持ちですが、選手にはどう向き合っておられるのでしょうか。

 入部する際、ほとんどの選手が「プロを目指しています」と言いますが、大学は決してプロの育成機関ではありません。まず学業にしっかり向き合うことが大前提であることを最初に話します。プロになることが簡単ではないという話もしますが、もちろん選手には夢を叶えてほしいと思っています。ただ、毎年全ての卒業生がプロとしてキャリアをスタートしていけるわけではありません。多くの選手は方向転換せざるを得ないのが現実です。しかし、夢のスタートラインに立てなくても、四年間の努力はきっとどこかで活きるはず。選手には自分自身が納得できる道に進んでほしいですね。そして、より多くの経験を積んでほしい。私のように海外で異文化に触れることも一つ。さまざまな経験が人生を豊かにしてくれると思います。

読者の中にはお子さんがサッカーに励むご家庭も多いと思います。子どもたちへの指導や関わり方はどのようにお考えですか。

 本来、子どもたちのスポーツは「遊び」が原点であるはず。「習い事」にはなってほしくないですね。今年三月には、選手たちが朝霞市在住・在学の小学生とサッカーをする機会を設けました。中には他の子に馴染めずに一人で砂いじりをする子もいましたが、気づいた選手が一緒に遊んでくれていました。来てくれたからには、たとえサッカーでなくても「今日は楽しかった」と思ってもらう。それが大切だと考えています。仲間とボールを追いかける楽しさは知ってほしいのですが、大人が押し付けるのではなく子どもたちが自主的に決めたルールで皆が楽しめるのが理想ですね。それは選手も同じで、練習では彼らが主体的に考えることを大切にしています。

 選手は四年間の中で、こちらが予期せぬタイミングで大きく伸びることがあります。一人ひとり、その時期も要因も異なります。親御さんとしては「子どもに早く上達してほしい」と願うことは当然ですが、小中学生の子どもたちもいつ飛躍的に成長するかは、人によって異なります。親の思うようにならないときも「こうしたほうがいい」という言い方ではなく、「このやり方もあるよ」と、選択肢を与えてあげる。子どもの自主性を尊重し、成長を見守る姿勢が大切ではないでしょうか。

最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

 卒業生の皆さんのなかには、毎試合のように応援に来てくださる方もおられて、本当に感謝しています。監督としては関東一部リーグに定着し、もっと多くの方に東洋大学サッカー部の活動を認知していただくことが目標です。もちろん、選手は優勝を目指して日々努力していますので、ぜひ応援してください。