For Alumni 東洋大学の活動報告
東洋大学の活動報告
能登、北陸のために
東洋大学ボランティア支援室は能登半島地震の復興支援を4クールにわたり実施。
参加した「学ボラ」サークル代表の伊藤楓真さんに現地での活動やボランティアへの思いを聞きました。
学生の声
被災地で得たたくさんの気づきを今後の活動や将来につなげていきます。
伊藤楓真
経済学部総合政策学科 3年
能登の震災復興ボランティアに参加しました。被災地で活動するのは初めてです。今までメディアを通して〝記録〞として見てきた震災が、現地に足を運んだことで〝記憶〞として私の心に刻まれました。
参加したきっかけは、ボランティア支援室から「行ってみない?」と声をかけてもらったことです。ボランティアサークル「学ボラ」の代表を務めている私は、使命感に駆られると共に、自分の目で現地を見て、復興支援に直接関わってみたいという強い思いがあったので「行きます」と即答。3月11日、12日に石川県志賀町でボランティア活動を行いました。
震災発生から2か月強。道路のひび割れやブルーシートで覆われた建物もありましたが、地元の方からは、前を向いて進んでいる印象を受けました。とは言え、住民の多くがお年寄りです。私は、一般ボランティアの方30〜40人と一緒に重機が入れない民家の裏山に行き、倒壊した倉庫の瓦礫をバケツリレーで運び出しました。
参加者には年配者や子どももいて、力仕事や悪い足場での作業は体力のある人が受け持つなど、役割分担は自然とできていました。2日目は雨でかなり大変でしたが、予定の作業は無事完了。ただ、近所には手つかずの場所がいくつもあり、圧倒的な人手不足を感じました。
たくさんの学びもありました。例えば、物を受け渡す際の声かけの重要性。「次行きます」「受け取りました」などの確認はケガ防止につながります。ベテランボランティアさんからは、荷下ろしまで考えたトラックへの積み方や、頑丈だけどほどきやすいロープの結び方などを教わりました。また、瓦礫と言っても元々は持ち主の方の大切な所有物なので、その都度確認も必要です。
被災された方々とお話しする機会もあり、「若い人がいてくれて心強い」と喜んでもらえたのが印象的です。スキルや経験はなくても、学生は安心感や活気を与えることはできると気づかされました。金沢の大学生と交流できたことも有意義でした。
志賀町のボランティア活動は4大学(金沢大学、金沢星稜大学、早稲田大学、東洋大学)合同で計4回行われ、私はこの第1クールと、第4クール(4月1日、2日)にも参加。後日、参加者が集まって報告会を行いました。
ボランティアは「いいことをする」「人を助ける」というイメージが強いかもしれません。でも、いいことかどうかを判断するのは、ボランティアを受ける側。あまり力を入れ過ぎず、自分がやりたいから参加するくらいの気持ちが一番いいと思います。
私は今回初めて被災地に行き、支援のノウハウや現地ニーズの発見、多世代交流など、得るものが本当にたくさんありました。起きてほしくはない震災ですが、もしまた機会があれば参加すると思います。そして、この貴重な〝記憶〞を今後の活動や人生に活かしていきます。
活動の様子
重機が入れないため、すべて手作業で行われる。
全壊した倉庫の瓦礫を撤去中。斜面で足場も悪い中、リレー形式で撤去していく。
災害ごみの集積場。瓦やガラス、家具、電化製品などがトラックで次々と運び込まれる。
『社会貢献センター報告』 〜学生・本学関係者による支援活動〜
東洋大学は、山古志村、東北、熊本と大きな災害が起きた地域に、全学的な組織をつくり、その復旧、復興のために、支援を行ってきました。これらの活動の基盤には、建学の精神があります。それは、「東洋大学の哲学とは、物事の本質に迫って深く追求し、考察を重ねることであり、諸学の基礎である。この基礎の上に、地球社会のあらゆる課題に取り組む科学としての学問研究が成り立つ」ことが本学のすべての営みの原点となります。
能登半島と本学は、さまざまなつながりがあります。多くの学生、卒業生そして教職員のふるさとであることはもちろん、能登は相撲が伝統的なスポーツであり、神事との関わりがあります。なお、本学の相撲部は、石川県出身者が多く在籍しております。陸上部、特に駅伝の選手たちも、七尾市の和倉温泉のホテルを拠点とし、合宿を行っており、地域の方々から多くの支援や声援をいただいていました。また国際地域学科は、12年前から「能登ゼミ」を髙橋研究室(前副学長)が開始しており、能登の里山再生支援、お祭り支援、調査・研究等を行ってきました。ゼミの中からは能登に就職している学生もおり、同学科の藪長研究室も「能登ゼミ」を継承しています。
1月1日の16時10分、能登半島地震が起きました。帰省や帰郷等多くの方々が、それぞれの希望に満ちた新しい年を迎えたときでした。その時から時間が止まっているのが今の現状でもあります。矢口学長は、すぐに被害にあわれた方々へのお見舞いのメッセージを発信し、特に受験生への配慮を打ち出しました。また被災地から、ボランティア活動の自粛が要請されましたが、できることから始めようと、学生のSDGsアンバサダーを中心に、4つのキャンパスで募金活動がなされ、多くの学生や教職員が募金に思いを込めました。それによって能登震災への理解が深まり、支援を考えていく全学の機運が高まりました。さらに今後の支援の組織やあり方に関して、社会貢献センターを中心に検討を開始しました。
センターでは、数回における視察を行いました。被災地に迷惑がかからないボランティア活動等の可能性、そのための連携先、宿泊(トイレ、入浴、食事等)の確保の調査等を行いました。3月の春季休暇、5月の連休に、志賀町と輪島市門前町で学生と教職員との協働チーム(延べ26人)が先遣隊として、主に被災者の自宅に伺い、瓦礫の撤去や家の中の整理といった活動を行いました。散乱した家の中の数々の思い入れがある生活用品を一つ一つ家主の方と相談・確認をしながら、廃棄していく過程に寄り添えたことから、改めて幸せとは何か、家や地域の大切さを「自分事」として捉えることができたとともに、本学がこの支援に継続的に関わる必要性があると確信しました。
石川県は5月20日、能登半島地震から復興するための指針案を明らかにしました。「創造的復興の実現に向けた羅針盤」と位置づけ、移住しなくても都会などに住む人が被災地とイベントなどで結びつく「関係人口」の拡大を最重点課題としています。また、復興に関わる県内外の大学生らの受け入れ促進や地域の結集軸である「祭り」を復興計画の柱にしています。本学は、石川県のスローガンである「創造的復興」の「創造」に焦点を当て、二つの「そうぞう」に着目します。住民の方々や地域の声を「想像」して聴き、その声を「創造」していく。これまでの被災地支援の経験を活かし、本学の知を結集して継続的にかかわる体制づくりと支援活動を展開していきます。
募金活動と応援メッセージ
社会貢献センターでは、2024年1月15日から19日まで各キャンパスのSDGsアンバサダーを中心に一般ボランティアと共に募金活動を行いました。また、川越、白山キャンパスでは、合宿先として能登地方とゆかりのある陸上競技部長距離部門の皆さんにも募金活動にご協力いただきました。

本学ラグビー部が日本航空高校石川のラグビー部の合宿を支援
今回の地震で大きな被害を受けた日本航空高等学校石川のラグビー部を支援するため、川越キャンパスの宿泊場所や練習場所(ラグビー場)を提供しました。この支援を受け、同校(監督・コーチ・生徒36名)は3月23日から行われた全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会のため、3月11日から22日まで直前合宿を行いました。
