For Alumni 卒業生インタビュー 後藤 杏奈

歌で表現したい
人とすべてが交り合う世界
シンガー
後藤 杏奈

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Profile
ごとう・あんな/
国際地域学部国際地域学科 2018年卒業

東京都八王子市出身。音楽家を夢見た父のもとで育ち、家族で音楽に親しむ。大学時代に内閣府主催の国際交流プログラムに参加し、ブルガリアへ留学。大学卒業後、幾度かの洋上生活を通じて歌う機会が増え、音楽、また海洋や環境への関心が高まる。2023年8月1stアルバム「Departure」をリリースし、関東を中心に積極的にライブ活動中。

身近だった音楽の道へ海が背中を押してくれました

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白山キャンパスに訪れたのは卒業以来なので6年ぶりです。ここ円了ホールで開催されたシンポジウムに「絶対に質問するぞ」と張り切って参加し、前の席に座ったことを覚えています。


国際地域学科は経済や福祉、教育、哲学、文化人類学と多分野にわたって学ぶことができ、好奇心旺盛な自分に合っていました。英語も好きで、留学生が集まるECZ(English Community Zone)にはとてもお世話になりましたね。


学生時代に特に影響を受けたのが、2年次に参加した「世界青年の船」。異文化交流やリーダーシップ育成を目的としたプログラムで、世界中から集まった若者が船上で40日間を過ごします。ネット環境もない中で自分自身と向き合い、昼夜仲間と語らう毎日。驚きや気づきの連続で、かつて経験したことのない濃密な人間関係に、時には息苦しさを感じつつも充実感を覚えました。


その40日間のプログラム終盤、人前で歌う機会を得たことが今につながる転機となりました。父の影響で子どもの頃から音楽はとても身近でしたが、歌で自分を表現したのは初めてです。「You Raise Me Up」を歌いながら、船上でのさまざまな感情がこみ上げてきました。同時に、歌うことがこんなに好きだったんだと気づきました。自分と音楽を改めてつなげてもらった出来事です。


3年次の冬にはブルガリアに留学しました。周囲は就活真っ只中で焦りはありましたが、東洋大学は多様な生き方を受けとめてくださる先生が多く、「世界青年の船」でも自分の根っこにある興味や問題意識を社会と結びつけて仕事にしている人は多かったので、自然と留学を決めることができました。難民キャンプで週2回ボランティア活動を行うなど貴重な経験もできました。


社会に出てからは、ピースボートの地球一周クルーズに通訳やプログラムコーディネーターとして乗船。船上でさまざまな人と出会い歌う機会を得るうちに、音楽をやるなら楽器ができなければいけない、譜面が読めて理論も知る必要があるといった、それまで自分を縛っていたものから徐々に解き放たれました。太平洋をヨットで渡る環境活動家の長期航海に参加したこともあります。そうした中で海洋環境への問題意識がどんどん強まり、同時に自分にとって海とはどんな存在なのかを考えるようになりました。今の私の一番のテーマは、〝人と自然〞という二元論を超えて、すべてのものが交り合う世界をどう表現していくのか。より良い〝未来〞ではなく〝今〞のために自分にできることは何か、模索中です。


昨年8月、ファーストアルバム「Departure」を発売し、3月に鎌倉でライブを行いました。国際地域学科の先輩が運営されている会場で、当日は同級生や先生も駆けつけてくださり、本当に本当に幸せでした! 皆さんに支えてもらい、大好きな海に背中を押されて、歌い手としての私の旅は始まったばかりです。いつか船に住んで、船で旅しながら港を巡り、出会った人たちと音楽を奏でるのが私の夢の一つです。

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Now On Sale
1stアルバム『Departure』