理工学部 学部長 松元 明弘

学部長メッセージ

社会を支えるものづくりに
「理の知」と「工の知」で挑む

東洋大学理工学部は、1961年の工学部の創設以来、フィロソフィーを持った実践的な技術者・研究者の育成という基本理念を掲げています。原理・原則を大切にして、その知識や経験をものづくりに展開するという方向性は今も変わりません。2009年に理工学部になってからは、さらに「工の知」とともに「理の知」を学ぶという方針を打ち出しています。「工の知」及び「理の知」とは、工学の知恵・考え方と理学の知恵・考え方を指します。

理学は真理を探究することが基本的な考え方であり、解析的な視点を持って物事を細かく分析する考えが基本です。コストや時間がかかろうとも真理を探究する方向性です。

一方、工学は科学の原理・原則を元にして、ものづくりをするためにさまざまな知識を組み合わせて総合的に(解析とは反対方向に)扱う学問や技術を指します。ここでは、コストや時間の制約条件が付くことが重要で、限られた予算、限られた時間という制約の下で、さまざまな評価基準に対しての設計解を求めますので、評価基準が異なれば当然ながら解は異なります。結果として、工業製品はさまざまなニーズにマッチするために多様な選択肢が提供されます。

一般の人々にとって、もしくは普通科の高校生にとって、「工学」はなじみのない分野のように見えますが、実は逆です。工学によってさまざまなものづくりが行われていますので、むしろ身近な存在です。ここでいう「ものづくり」とは、自動車・電車・飛行機などの乗り物、木造家屋やビルなどの建築物、道路・橋・鉄道・空港・港・上下水道・発電所・通信線・無線基地局などの社会インフラ、機械や半導体などを製造するための機械や設備、金属材料・化学材料・建設資材・繊維・プラスチック製品などの材料、各種材料や化学製品の製造あるいは水処理のためのプラント、食品や医薬品や化粧品を製造するための設備やプラントなど、多岐に渡ります。またこういった「もの」を設計・製造する際に、コンピュータの利用は不可欠です。これらが人間生活を豊かにし、安全安心な社会を提供してくれています。こういったことから身の回りの製品はすべて「工学」が関わっていることが理解できるでしょう。

こういったものづくりにおいて、「工の知」が必要なのは言うまでもありませんが、その過程では「理の知」を活用しつつ、また利用者の使い勝手、経済性、あるいはライフサイクルでのコストの考え方が必要であり、このような多様な視点を持った技術者・研究者の育成を目指すのが東洋大学理工学部の特長です。社会や人々の生活を科学技術の観点から支える理工学の世界にようこそ!

理工学部 学部長

松元 明弘

Akihiro Matsumoto

PROFILE プロフィール

所属
理工学部 機械工学科 教授/工学博士
専門分野
機械工学、知能機械学・機械システム