福祉社会デザイン研究科 社会福祉学専攻
社会福祉学専攻
研究・実践の両面から、現場に成果を還元する
専攻長メッセージ
社会福祉学を学び研究することの意義
まず、今の時代に社会福祉学を学び研究することの意義について述べておきたいと思います。社会問題をあつかう学問分野には、その対象とする問題が拡大深化する中、それへの対応を探るプロセスを通して大きく展開していくという面がみられます。社会福祉学で言えば、19世紀後半の貧困問題の拡大深化から20世紀における福祉国家の成立の過程に見られる学問的発展が、そうした展開の時期にあたるといえるでしょう。この時期、貧困の実態把握と問題の因果関係を含めた解明、さらには対応のための制度の構築などをめぐって様々な形で研究が深化し、社会福祉学という学問の姿を整えていったともいえるのです。そして今、日本は、そうした貧困問題に匹敵するような社会問題に直面しています。
それが、「人口減少社会」の到来という問題です。明治維新以降、日本は常に人口が増加するという状況にありましたし、社会の仕組みもそうした状況を所与の前提としてつくられてきました。ここに来て、初めてそうではない社会に突入することになったのです。確かに、この問題の背景には、少子化・高齢化といった、ある意味でなじみのある問題が介在していることは事実ですが、「人口減少社会」の問題は、少子化・高齢化の延長線上でとらえることができるような問題ではなく、次元の異なる様々な要素を含んだ問題として受けとめる必要があります。
19世紀の貧困問題への処方箋として描かれたものが、福祉国家であったとするならば、人口減少社会に対してどのような社会を描くことができるのか。
今、社会福祉学に問われている問いは、とても困難ではありますが、やりがいのある魅力的な課題なのです。
社会福祉学専攻では、そうした課題に取り組んでいくための方法について学んでいきます。
たとえば、博士前期課程において 「研究基礎論」を必修科目に位置づけ、アンケート調査に基づく量的研究、インタビュー調査による質的研究、歴史的資料の収集・分析を行う歴史的研究、各種統計や制度および政策の動向を整理する制度政策研究など、多様な研究方法や分析手法を概観することから研究を開始することができるように配慮されています。
また、伝統で裏打ちされた実績に基づいて、毎年、博士の学位取得者を輩出しています。そのため、全国やアジアの大学・大学院で教鞭を取っている修了生が多く、加えて、教壇に立ちながら研究を続けている院生も少なくないため、教員との間だけでなく院生と修了生との相互の活発な情報交換も行われています。
さらに、本専攻が中心となって、「福祉社会開発研究センター」が設置されています。そこでは、「高齢ユニット」「障害ユニット」「子どもユニット」「ユニット統合」がおかれ、大学院に籍を置きながら、研究支援者(RA:リサーチアシスタント)として研究活動に従事している院生も少なくありません。本専攻で、高度な研究環境をぜひ実感していただきたいと思います。
概要
社会福祉学は、すべての人々の福祉の実現を基本に、対象、必要、計画、制度、実践を総合的に研究し、その知識や技術を現場に還元していくことを目的とする学問分野です。
本専攻では、これまでの歴史と実績を踏まえて、ソーシャルポリシー・アドミニストレーション(SPA)とソーシャルワーク(SW)によって構築されたカリキュラムを用意し、研究と実践の両面から、高度な研究能力の養成とその成果を現場に還元できる大学院教育を目指しています。
また、本専攻においては、目的に応じた柔軟な研究ができるように昼夜開講制を採用しています。福祉の実現に向けた実践とその裏づけとなる理論や判断力を鍛える研究を期待しています。
- 入学定員:前期課程20名/後期課程5名
- 開講時間:昼夜開講(昼間主)
- キャンパス:白山
- 学位:前期課程 修士(社会福祉学)又は修士(ソーシャルワーク)/後期課程 博士(社会福祉学)又は博士(ソーシャルワーク)
- 教育訓練給付制度指定講座:前期課程
2018年度より募集停止しました。
現在は改組により「社会福祉学研究科社会福祉学専攻」になっています。