Vol.2 IR(統合型リゾート)について

News Letter Vol.2 
新しい観光のパラダイム
IR(統合型リゾート)について
東洋大学 国際観光学部教授 佐々木一彰
2021.10.19

2021年4月に行われた世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)の年次総会で、グロリア・ゲバラ会長(当時)は「私たちは2019年には戻らない。前へ進む」と挨拶しました。
東洋大学国際観光学部では、「新しい観光のパラダイム」と題し、コロナ危機を乗り越え、ツーリズム産業を前に進めるための手掛かりを示すコンテンツを連載していきます。テーマは「IR」「SDGs」「ライブエンターテインメント」「国際交流の復活」の4つです。本学部ではこれからも、変化に対応し、時代を切り拓ける人材を育成していきます。

カジノ

カジノを収益の核とするIR(統合型リゾート)について、研究者の視点で見ると「カジノ」という言葉だけがクローズアップされている部分があるように思われます。日本には、まだ合法的なカジノは存在しておりませんので、海外に行ってカジノを経験した人しかおらず、その数は全体の比率からすると決して多いとは言えません。従って、日本人のカジノに対するイメージは『何かいかがわしく、犯罪の匂いがしそうなもの』などと捉えられているように思われます。しかしながら、それらは40年から50年ほど前のイメージであり、現在、世界のカジノは犯罪組織が関わることができないIR化しつつあるのが実際です。



日本の現状

日本では2018年にカジノを収益のエンジンとするIRが合法化されました。日本では偶然の事象に金品を賭けることは刑法に触れ犯罪になるのですが、特別な法律によってその「賭ける」ことが法に触れないようになります。競馬法や競艇法、宝くじ法と同様です。これらのゲーミング産業は「社会に対して良いこと」を行うために特別に許可されたのであり、IRも「観光振興」のためにIR実施法「特定複合観光施設区域整備法」(カジノを収益のエンジンとする)によって許可されたのです。このIR実施法ではカジノを免許制にしており、犯罪組織が関われないよう厳しいチェックを行い、日本では最大3か所しか許可されません。

観光振興

前述の通り、IRは「観光振興」のために合法化されましたが、その理由は日本の人口減に伴う消費減を補うために、「交流人口」「観光人口」を増やさなければならないということです。「交流客」「観光客」の数を増やす必要はもちろんありますが、同時に一人の客が消費する「金額」も重要となります。コロナ禍の前、観光客の「数」の面では日本はある程度の成功をおさめましたが、残念ながら「金額」の面においては成功をおさめたとは言えません。この「一人当たりの消費金額」の面の課題をクリアするために作られようとしているのがIRであり、コロナ終息後には観光産業の復活のための強力なツールとなることでしょう。

佐々木一彰

東洋大学国際観光学部 教授
専門分野:経営学
研究キーワード:カジノ、IR(統合型リゾート)、ギャンブル、観光

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