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学長メッセージ

矢口悦子

学長メッセージ 

東洋大学 学長 矢口悦子

2020年、世界は100年に一度といわれる新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中に閉ざされてしまいました。それは、大学への入構のみならず、日常生活が制限されてしまうという不自由な事態をもたらしました。オンライン授業の導入に伴い、学生たちの学習も大きく変わりました。また、世界全体がこれまでの自由な交流を一定期間制限しなければならないという状況により、国際化事業の展開により急増してきた留学生の受け入れや、本学からの送り出しをはじめとしたグローバル化構想の進展も減速を余儀なくされました。そうした困難な条件下ではありますが、ITや最先端の技術を駆使し、あるいは柔軟な発想を用いて、多様で文化的な交流を独創的な手段で提供することが、教員の大きな役割となっています。

その成果は、必ず複雑な課題を克服するための知見として社会に還元されると思います。

どんな困難な状況にあっても、本学の建学の精神である「諸学の基礎は哲学にあり」の言葉をしっかりと胸に刻み、「独立自活」「知徳兼全」を大切な教育目標として掲げ続けたいと思います。そのために、物事を深く考え抜き、自文化を踏まえた自らの生き方を確立し、高い倫理性を持って堂々と誠実に生きていくことのできる学生の育成を目指してまいりましょう。

学祖井上円了博士は、人々のために何ができるかを真摯に追求し、社会教育に生涯を捧げた実践家です。今後は、哲学館以来の伝統を保持し、学問の蓄積を世界に提供し、さらに夜間部教育(全国の夜間学生の約25%が在籍)を維持しながら、社会人教育を追求する必要があります。新たなリカレント教育としては、企業や役所、法人、団体、学校などを対象としたプログラミング等IT技術の集団的な提供や、高度専門職を志向する人々を対象とした研修システムの構築などが既に着手されています。こうした方向への大学拡張(エクステンション)は、本学の理念に沿うものです。

また、生涯学習に関する講座なども多様な展開が期待できます。「人生100年」時代を生きる人々が、知の受け手から創造主体へと変貌することを支える新たな大学像の創造であり、本学にはその基盤があります。具体的な課題として、2015年より世界中で取り組まれている国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)が足掛かりになります。そこで語られている17のゴールをよく見てみると、「自他が共に認めあって当たり前に生きるための目標」ばかりであり、総合大学としての東洋大学には、多様な領域に関する研究者が揃っています。多彩な研究成果がアフター・コロナとなった世界への知の還元をもたらすことも、そうした目標に重なります。

教職員一丸となって、東洋大学の底力を発揮し、眼の前の困難を乗り越え、日本はもちろんのこと世界の人々のために、つまり「他者のために自己を磨き」、大いに貢献する大学であり続けたいと思っています。

 

2021年 4月 1日
東洋大学長 矢口 悦子