秋季期間休業を活用して、ハワイ島でのフィールドワークを実施しました。ハワイ島は,さまざまな観点で研究者がこぞって研究対象としている島です。
ハワイ島は、現在も活動しているキラウエア火山などの多くの火山がつくり出した島であり,今現在も噴火を繰り返し,日々姿を変えています。火山がつくり出す大地は他にはない特徴をもっています。さらに,周辺に大陸がないことで,豊な生態系を有しており,多くの特徴的な動植物を観察することができます。また,マウナケア火山は標高4205mの休火山であり,天体を観測するにはとても適した場所です。日本の国立天文台もすばる望遠鏡をマウナケア山頂に設置しており,日々研究者が天体を観測しています。
このようなハワイ島を舞台に,フィールドワークを行うことで,見方・考え方を磨き,新たな発見をすることができました。
〜事前学習〜
この研修に向けて,学校での事前学習に加えて,外部の研究機関と連携して事前学習を行ってきました。学校では,ハワイの動植物や気候,天文などについてグループでまとめてゼミ活動を行いました。さらに,現地でさまざまな情報を獲得するために,「観察眼」を育てる活動を行いました。
今年度からは,三鷹の国立天文台本部,学校の目の前の小石川植物園を訪問した事前学習も行いました。国立天文台では,4次元デジタル宇宙プロジェクト4D2Uを活用したハワイ島での天体観測についての説明や,実際に見える星の説明を職員の方に説明をいただきました。小石川植物園では,本校生物科教員の案内のもと,植物を見て,その特徴を把握するフィールドワークを行いました。植物を観察するときのポイント,ネイチャーガイドの話を聞くときのポイント,フィールドノートにまとめるときのポイントを学ぶことができました。



〜1日目・いざ魅惑の島へ〜
成田空港にて団結式を行い,夜の便で日本を出発。ホノルルでの乗り継ぎを経て,お昼にコナに到着しました。コナはハワイ島の西側の都市で,ケッペンの気候区分でステップ気候BShに分類されており,雨が少なく乾燥している気候です。


到着後,すぐにネイチャーガイドのジンさんと合流し,フィールドワークのスタートです。バスの中から見える地形や溶岩、植物などに生徒たちも興味津々といった様子で、メモをとったり写真を撮ったりしていました。
最初の観察ポイントはカロコ・ホノコハウ国立歴史公園です。海岸沿いを歩きながらハワイの固有種植物の観察や伝統的な茅葺屋根の住居を見学し、ハワイの人々の循環型の生活について学びました。海岸ではウミガメを見ることができました。
その後,バスでヒロに向かいながら,ハワイ島の全体像を見ていきます。ヒロはハワイ島の東側の都市で,熱帯雨林気候Afに分類されており,雨が多く,ジメジメとしている気候です。途中,標高2000mのマウナケアパークに寄って,小休憩を取りました。標高が上がることで気温が下がることを体感しました。マウナケアパークでは,ダブルレインボーを見ることができました。ヒロ側は雨が多いため虹が見られることは多いですが,副虹を観られるのは滅多にありません。コナからヒロへ移動することで,島の西側と東側の気候の違いを体感することができました。


〜2日目・生物の日〜
朝からカウラナ・マニュにてバードウォッチングとネイチャートレイルを行い、植物やハワイ固有の野鳥観察を行いました。あいにくの小雨でしたが,ハワイミツスイのイイヴィやアパパネといった何種類もの野鳥を観察することができ、生徒たちも満足そうでした。
昼食は,ロコモコとラウラウを食べました。ラウラウはタロイロも葉に豚肉を包んで蒸したハワイの伝統料理です。


午後は、ボタニカルガーデンとレインボーフォールズで主に植物の観察を行いました。ボタニカルガーデンでは、ガイドさんの話を聞きながら、固有種と在来種の関わり、外来種について疑問に思う生徒もいたようです。ハワイ島到着前までハリケーンNOLOがハワイ島周辺に接近していたため,大雨が降っており,滝の水量は例年の倍以上になっていました。




夜は,ホテルでブリーフィングです。教員・ガイドの説明のもと,この日に観察することができた内容を振り返ります。生徒たちから積極的に発言があり、とても良い雰囲気でした。ブリーフィングでは、それぞれのメモを活用して学びの共有を行いますが、どの生徒も工夫して活動記録をつくり上げているため、とても丁寧に振り返りを行うことができました。


〜3日目・火山の日〜
体調を整えるため,朝早くからホテルの周辺の散策を行いました。日の出を見ることができ,マウナケアが上から順に太陽に照らされていく様子を観察することができました。


バスでキラウエア火山があるハワイ国立火山公園に移動しました。ハワイ島の火山はどれも盾状火山で,傾斜がゆったりとしているため,車で登ることができます。日本の火山では考えられないことです。まず,キラウエア火山の山頂からカルデラの様子を観察しました。噴火による火山噴出物があちらこちらに落ちており,軽石のような溶岩や,ペレの髪の毛と呼ばれる二酸化ケイ素が繊維状に伸びた噴出物を観察しました。




その後,現在噴火している火口の隣にあるキラウエア・イキの火口までおり,過去の噴火の様子を間近で体感しました。溶岩の岩盤が,下部のマグマの波に寄って外側に流されている様子を観察することができました。


午後は,キラウエアの火口の展望台まで歩き,火口の観察を行いました。少し待っていると,赤く光るマグマを見ることができました。噴出するマグマは,サラサラで,すぐに流れていました。


夜は,天体観測です。一度ホテルへ戻り,服装を真冬の装備に変えます。標高2000mのマウナケアパーク周辺で観察しますが,気温は10℃前後です。少しずつ日が沈み,暗くなるにつれて,天球いっぱいに広がる無数の星を観察することができました。ガイドの説明で星座や望遠鏡で金星や木星を観察しました。


〜4日目・宇宙の日〜
4日目の朝は早く起床し,朝の散策を行いました。何と、飛んでいるネネ(ハワイ島の固有種)を見ることができました。ネネは1日に2〜3回ほどしか飛ばないと言われる鳥で,ハワイ島では四足獣が少なく天敵がいないため飛ばなくなってしまった鳥です。
午前中は,国立天文台ハワイ観測所すばる山麓施設の訪問を行いました。
臼田-佐藤先生からはマウナケアとすばる望遠鏡の概要を説明していただきました。天体観測の基礎となる考え方を教えていただきました。その後,矢部先生からは,分光による観測の可能性を教えていただき,銀河を観察している研究内容についての講演をしていただきました。矢部先生は子どもの頃は星を見上げることなどなくあまり興味がなかったそうです。高校・大学と勉強していく中で,天体の可能性に惹かれ,現在の職に就かれたのだそうです。興味がないと思っていた分野でも面白いと思うかもしれないので,幅広く勉強してほしいとのお言葉をいただきました。




午後は,ハワイ大学の学食で昼食をとった後,今年からの新たな取り組みとして現地の大学生によるキャンパスツアーを行いました。英語での説明にドキドキしながらも,理解しようと頑張って聞いている姿が見られました。最初は緊張していましたが,後半には質問をし合えるほどに打ち解け,コミュニケーションを楽しんでいました。


〜5日目・帰国の日〜
あっという間に帰国です。
ヒロ国際空港でも今後の事後学習に向けてのブリーフィングを行いました。ホノルルを経由し、無事羽田空港に帰ってきました。
解散式では、隊長の生徒から皆に向けて「今後の事後研修もしっかりと頑張っていきましょう!」という言葉がありました。


このあとも活動は続いていきます。生徒たちがこの研修で得た学びをさらに深められるようにサポートしていきます。