【概略】
アスペン・セミナーは、優れた「古典」という素材と多様な参加者との「対話」を通して、自身の理念や価値 観を見つめ直し、“価値に基づくリーダーシップ”を涵養する世界で展開されているリベラルアーツ(教養)・プログラムです。このような世界のリーダーに向けて準備された世界最高峰の哲学対話が、アスペン・ジュニア・セミナーとして高校生にも開放され、将来の社会を背負う高校生が友人と価値観を共有し、楽しみながら自己のよって立つ哲学を固めていきます。日本アスペン研究所が主催されるこのアスペン・ジュニア・セミナーは、本校が会場校となり、毎年募集人員を上回る生徒が選抜を経て各高校から集まってきます。人間的価値の本質について理解を深め、洞察力、多元的な視点、そして人類的な視座を養う「リベラルアーツ(教養)プログラム」を学び精神的に成長していくだけではなく、研究所の先生方やスタッフの方々、他校の生徒さんとの触れ合いを参加者たちは財産にしているようです。
このような東西の「古典」を教材に、参加者による「対話」を通して「よく生きるとは」、「何のため学ぶのか」、「何のため働くのか」、「大切にしたい価値」といった人生の重要な課題について考え、正解のない事柄に対して、自分の頭で懸命に考え抜く経験をした上に、仲間との「対話」を通してそれぞれが考えたことを披瀝(ひれき)しあうことで、視野を広げ、判断力を高め、将来大きな困難に遭遇した時に何らかの解決の糸口を発見する力を養う機会を頂けることは本校生徒にとっても大変にありがたいことです。また、進行役のモデレーターや解説担当のリソースパーソンは、大学の先生方・会社役員の方々が中心であり、幅広い知識・豊富な社会経験の一端に触れるだけでも生徒はワクワクしています。すでにアスペン・ジュニア・セミナーを卒業して研究者や社会人となっている方々との交流もあり、生涯にわたって哲学対話を楽しむことができます。

【感想】
「昔の文章を読んで色々見いだいしてきて。」この言葉を聞いたとき、正直、困惑するしかなかった。なぜなら、私にとってアスペンセミナーとは「話し合いをする場」という認識しかなく、ただ楽しそうだという理由で参加を決めたからだ。まさか、文章を何度も読み込む必要があるとは思ってもみなかった。最初に配布されたテキストを手に取ったとき、その分厚さに圧倒された。今まで触れたことのなかった聖書など、言葉遣いも難しく、最初の数ページを読むだけで頭が痛くなった。「ただ議論を楽しむ場だと思っていたのに、こんなに事前準備が必要だったなんて……」と戸惑いながらも、読まなければ何も始まらないと、とりあえず目を通すことにした。私は「一度読めば十分だろう」という軽い気持ちで第1回のセミナーに臨んだ。しかし、議論が進むにつれ、自分の理解が浅く、他の参加者との読み込みの差が歴然としていることに気づかされた。彼らの発言は鋭く、文章の細部にまで踏み込んでいる。一方で私は、表面的な内容しか把握できておらず、議論に深く関わることができなかった。「このままでは、ただ聞いているだけで終わってしまう。」そう焦りを感じた私は、残りの3回のセミナーでは、文章を暗記できるほどまでに読み込もうと決意した。それからは何度も文章を繰り返し読み、読むたびに少しずつ意味が見えてくるようになった。最初はただの難解な言葉の羅列に思えたものが、次第に「この部分はこういうことを言っているのでは?」と、自分なりに解釈できるようになった。ただ、一人で考えることには限界がある。セミナー当日、他の参加者の意見を聞くことで、「この一文に、そんな意味があったのか!」と驚く場面が何度もあった。アスペンには、多様な背景を持つ高校生が集まっていた。宗教系の学校に通う生徒や帰国子女など、それぞれ異なる視点を持っており、彼らの考えに触れることで、私の価値観は大きく広がった。同じ文章を読んでも、育ってきた環境によって受け取り方が違う。そのことを実感したとき、文章を深く読み込むことの意味がやっと分かった気がした。アスペンを通じて、「より良く生きること」について深く考えさせられた。ただ文字を追うのではなく、そこに込められた意図を探り、多様な視点と結びつけながら理解を深める。このプロセスこそが、対話を豊かにし、自己の成長につながるものであるだろう。また「過去は振り返らない」とも言うが、過去の文章に触れることは、単なる知識の蓄積ではなく、新たな視点を得るための扉となる。そして、それを今とつなぎ、未来へと生かすことで、より良い生き方へと近づいていけるのではないか。アスペンでの学びは終わったが、ここで得た気づきは、これからの人生においての指標にしていこうとも思う。はじめは軽い気持ちで申し込んだアスペンだったが、この経験を通じて最高の仲間に出会い、自己成長を実感することができた。振り返れば、学びと気づきに満ちた時間だった。本当に参加してよかった。(Mさん)
私は最初、アスペン・ジュニア・セミナーは頭がいい人の集まりで、変なことを言おうものなら笑われてしまうのではないか、と過度に緊張していました。初めてのセッションがオンラインで、私は緊張からか参加している生徒の方々全員が神様のように見えてしまうような感覚に陥っていました。さらに、その日の標題が芭蕉の『おくのほそ道』で、古典が苦手な私にとって不安でしかありませんでしたが、他の方の意見、話合いを聴いている途中、普段私が授業等でしている話し合いとは何か違うことに気づきました。話し方が丁寧なのは勿論なのですが、それとはまた違う何かがあり、次に始まった対面セッションで、自分に足りないと思った違和感は言語化能力だと分かりました。レベルの高い会話をしていた人はメモも見ずにその場で考え話していましたし、他の参加者のノートを見せてもらうと感想文がびっしり書いてありました。セミナーが始まる前、京北の先生が教えてくれたことと一緒で驚きました。セミナー2日目、足りていないところを改善して挑んだ『創世記』では、自分が思う中で一番楽しめました。具体的には、私の意見に沢山インターベンション(賛成・反対の意見を言うという意味)をもらい、深くまで考察でき、ここで初めて自分なりに発言することの楽しさ実感できました。セッションを楽しめたのは勿論なのですが、セッション以外での参加者同士の交流でも小さな気づきが数えきれないほどあり、コミュニケーションを通じて仲が深まりました。(Tくん)
私はアスペンセミナーを通して、大きく得られたものが2つあります。1つ目は、古典の新しい読み方です。今までの私は、授業で学ぶ古典しか読んでこなかったので、訳や、文法、歴史背景しか学んできませんでした。しかし、アスペンセミナーでは、授業では気がつかなかった何気ない1文でも、作者の意図や、隠された真実などを考察して、お互いに話し合うことで、新しい発見が見えてきました。同じ文章でも、読み方が違うと、ここまで印象が変わることに驚きました。2つ目は、友達です。アスペンでは、普段の学校生活を過ごしているだけでは出会うことのできない人と触れ合うことができます。また、古典に興味のある人が集まっているので、とても話が合い、柔軟な思考ができる人が多いので、とても勉強になります。古典に興味がある人や、休日を有意義に過ごしたい方にはぴったりの活動だと思います。ぜひ参加してみてください! (Nさん)

「アスペン・ジュニア・セミナー」