コミュニケーションを通じて
社会に変革を起こす
PRは企業と社会をつなぐ
経営のパートナー
株式会社電通PRコンサルティング
Yuna Mori森 佑奈さん
ゼミでPR(パブリックリレーションズ)に興味をもち、PR会社に行くか企業のPR担当になるかで迷ったのですが、確実にPRの仕事に就けてさまざまな領域で活動できるPR専門の会社に入社しました。
入社後は研修期間を経て、金融機関や大手飲食チェーンなどのクライアントと直接やりとりを行い、PR施策を企画・進行管理する部署に配属されました。新商品やサービスの魅力を伝えるための「コミュニケーション設計」、「販促ツール制作」、「新製品発表会の運営」のほか、時には「社長のメディアトレーニング」などをすることもありました。
PRは企業と社会との双方向コミュニケーションの一環です。プロジェクトは、数人で担当するものから総勢100人といった大規模なものまで幅広く、1か月で一気に仕上げる短期のものから数年かけて行う長期のものまであり、クライアントもBtoB企業・BtoC企業・官公庁などジャンルもいろいろです。そのため、興味を持っていること、好きなことを活かすチャンスの多い仕事だと思っています。もともとアートやデザインに興味があって、やってみたいことをよく口にしていたら「これ、森に合うんじゃない?」と仕事を勧めてもらえることが増えました。せっかく声をかけてもらえたからには、よく分からなかったとしてもまず船に乗ってみる。それを続け、自分が興味を持って携わったものが社会に影響を与えていくことに、やりがいを感じています。
PRの仕事のなかで、新商品・サービスのプロモーションは社会とつながる一部分にすぎません。経営のパートナー的存在として、課題を掘り下げ、改善策を提案し、予算取りや外部交渉なども行い、コミュニケーションを通じ社会に発信していきます。クライアントの「総合プロデュース」をすることが求められるのです。クライアントが「何に困っているか分からない」という状況からコンサルティングするケースや、ロゴマークの提案などのブランディング支援をすることもあります。なかには工場火災などがあった場合の、ネガティブな広報対応のサポートも行います。また、クライアントからの疑問・質問に対し「知らない」と答えることはしたくありませんし、知識のアップデートはとても重要です。分からないことは詳しい人を探してチームに入ってもらい、一人ではなくチームでクライアントのサポートをしていくことで、私も新しい知識を吸収しています。
現在は、2度の産休・育休を経て働いています。時短勤務での復職も考えましたが、フルタイムでの復職にトライしました。特に2度目の復職後は、コロナによる影響で在宅勤務(フルリモートワーク)が導入されたことも幸いし、フルタイムで働き続けることができています。在宅勤務によるチームのコミュニケーション不足には、細やかにチャットやメール、時にはオンラインで話すことを意識しています。
子どもを持ったことで周囲の環境や生き方に対する視点が多様になり、子どもたちがどんな価値観を持って社会を歩むことになるのか、強く考えるようになりました。そこから、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I:外面の属性[性別・障がいなど]や、内面の属性[ライフスタイル・価値観など]にかかわらず、個々の違いを受け入れ、互いを尊重し認め合うこと)やSDGsなどにも目が向くようになりました。外部有識者を招いてジェンダーに関する社内勉強会を実施したり、D&I関連の情報をチームに積極的に共有していたところ、関連の業務の相談がだんだんと増えてきました。興味関心のある事柄について積極的に声を出すことで、仕事の幅が広がっています。
ゆくゆく、ラジオパーソナリティになりたいと思っています。その時に恥ずかしくない人間になろうと、人生経験をたくさん積んでいきたいと考えています。現在の仕事から考えると突拍子もないようですが、今の仕事だけじゃない仕事が待ってるかもと思うと楽しみです。皆さんも卒業後の人生を考えるときに、「会社員」や「公務員」などの規定の枠組みで仕事を考えるのではなく、もっと自由に発想して自分のやりたい気持ちを素直に感じてみてください。興味がある、やってみたいと思えることがあるならば、多少の苦労や回り道は、きっとその後の人生を豊かにしてくれると思います。
生きる道は1本ではないのです。いろいろな背景や生き方の多様性が、人としての資本になります。スキルだけではなく、考え方や哲学も大きな資産です。豊かな資本を持つ人が集えば、発想の幅も広がりその組織の魅力もアップします。
自身の経験から、可能性を広げるには、自分と異なるコミュニティや世代との触れ合いが大切だと感じています。学生の間に、ぜひ普段コミュニケーションをとることが少ない上の世代の人たちと接してみてください。近所でよく見かける人に挨拶をするところからでもいい。「興味のあることがない」という人でも、他人と接することで興味を発見することもあります。自身を固めている枠組みを取り払うのは、意外と身近な一歩だと思っています。