営業先で「女の子なの?」
逆風のなか、掴み取った信頼
5年目で売上トップクラスの営業所に
TOTO株式会社
Miyu Higoshi日越 美優さん
就職活動は日常生活でよく目にするメジャーな会社を回るところからスタートしました。高校時代、通学中によくお腹を壊して駅でお世話になっていた水回りに目が向いたことがきっかけで受験しました。
就職活動が進んでいくと、各企業の製品機能の高さや強みも見えてきます。入社の決め手は社員の方々の商品に対する愛情です。自社の商品に誇りをもって提供していること、その姿勢からブレない軸を感じました。
入社してみると予想以上に多様な商品が取り扱われていました。一般住宅でおなじみの水回りのほか、介護用手すりなど要配慮者へ対応したもの、大規模商業施設の鏡やカウンターなどもあります。機能も色味や素材などのバリエーションも多様で、数センチの厚さの商品カタログが何種類もあります。お取引のあるお客様から「すのこがほしい」と言われ、まさか扱っていないだろうと思いながら調べたら、載っていて驚いたこともありました。しかも、商品は毎年情報が更新されていきます。そのなかから、お客様のご要望に最適なものを探して、ご提案するのです。
今でこそ減りましたが、大学を卒業してすぐのころは営業先に行っても「なんだ女の子か」と扱われることもありました。でも、見た目の属性で単純にマイナス評価されているだけで、実際に真面目にきちんと仕事をすることで、どんどんプラス評価をしていただけることが多いと感じています。
営業にはいろいろなスタイルがありますが、私はお客様に、商品を紹介する前に私という人を覚えてもらおうと、積極的に懐に飛び込むようにしていました。あるリフォーム会社の社長に、初めのうちはまったく相手にされなかったのですが、何度も何度も足を運び会話を重ね、信頼関係を築いていきました。その後、食事や飲食などをする機会があり、5時間ほど飲み明かして、私という人間を理解いただいたうえで「うちの商品はこういう素晴らしいところがあるので扱ってくれたら嬉しい」と本音で話したら、半年の間、当社の商品を扱ってくださいました。その後も何かと目をかけていただき、「営業担当が君じゃなくなったら、後任は苦労するだろうね」と笑っていただいたときは、格別の嬉しさを覚えました。
行動の原動力となっているのは大学時代のアルバイトで、テーマパークのレストランで卓上サービスをしていた経験だと思います。ずっと前から予約を入れて楽しみに来られるお客様にコース料理が提供される2時間をとことん楽しんでほしいと、つきっきりで食卓の様子に目を配り、楽しい会話となるよう盛り上げました。その結果、たくさんのファンレターをいただき、自分の熱意や気持ちが届いたのだと胸が熱くなりました。当時の、「私と一緒にいる時間を目一杯楽しんでほしい」という気持ちは今の仕事にも通じています。
日本に100ほど営業所があるなかでトップクラスの売上を誇る営業所に5年目に配属されました。お客様にも楽しんでいただき、かつ社員も一緒に楽しもうという“巻き込む力”が良い方向に働いているのだろうと思います。
商品のプロモーション力を上げるため、中小の施工会社さん向けにSNS講習会を毎月開催しているのですが、「問い合わせが来た!」「注文が入った!」というお客様の手応えをみんなで分かち合いながら楽しく学んでいます。実は弊社でもInstagramなどのSNSを運用しています。講習会に参加している17社の仲間と「我々のSNSの力を見せてやろう!」と盛り上げているところです。プロモーションはフリーペーパーなどを作っていた大学時代のサークル活動(広告研究会)での学びが活きています。これまでにやってきたことはすべて今の力につながっていくのだと、改めて思います。
「社会人になると楽しむ時間がなくなるから学生のうちにしておけ」とよく言われたりしますが、社会人になってからはむしろ楽しいことがより一層バージョンアップしていると思います。大学時代はどんなことでも楽しめる社会人になるための準備期間です。自分の軸でやりたいことを見つけて、やりたいことが掛け算になるような仕事をすれば、お金も時間も注ぎ込めます。社会人になることを楽しみにしながら、学生時代を目一杯過ごしてください。