コミュニケーションの
プラットフォームとなり
新しい行動様式を
創り出す
LINE株式会社
Yuhei Iida飯田 勇平さん
新しいデバイスやサービスが出ると試してみたくなる性格で、スマートスピーカーが出始めたころなどは、家中にスピーカーを置いて話しかけ、家族からうるさがられたりしました。
LINEは生活の一部となっている身近なコミュニケーションツールで、次々と新しいサービスが展開しています。「ここで何かやってみたい」と飛び込みました。
最初に配属されたのはモバイル送金・決済サービスのLINE Payの飛び込み営業でした。商店街の店へアポ無しで訪問しLINE Payの導入をしてもらう泥臭い仕事です。
現金決済しか受け付けていない店主へキャッシュレスの良さを伝え、QRコードの入ったスタンドをレジの横に置いてもらいます。「こんなものいらない」という、けんもほろろの態度もしょっちゅうです。1日30件くらい回って成功するのは5件くらいでした。
商店街の皆さんは人間味にあふれる方が多く、毎日通っていると顔を覚えてくださり、気軽に声をかけていただいたりします。隣の店を紹介してくださったりもしました。サービスの先端にいるお客様がどんなところに何を期待しているのかを、肌で感じた毎日でした。
1年目の12月に異動したのは、LINE PayとLINEの法人向けサービスを融合して新しい買い物体験を生み出す部署でした。例えばLINEで商品を注文してから店舗に取りに行ったり、お店に入ってからLINEでメニューを注文して食事したりするサービスです。使い慣れているLINEであれば導入しやすく、新しい顧客体験が創出される可能性が広がります。パートナー企業と連携しながらサービスを創り出し、提案しました。
半年ほどすると全国展開する企業規模の大きな部署に配属され、LINE Payの営業代理店の方々と一緒に拡販を進めました。代理店の先にはかつて出会った商店主がいます。現場の「虫の目」と、代理店を通じて営業を俯瞰する「鳥の目」の両側面を学びました。
3年目にLINE株式会社へ戻り、企業などのLINE公式アカウントを通じた新しいサービスを創出する事業に従事しています。LINEユーザーは全国で9000万人(令和3年12月時点)います。自動車運転免許証を取得している8200万人(運転免許統計令和2年版)を上回る数です。キャッシュレス決済がここ数年で急速に当たり前の方法となったように、LINEはデジタル変革(DX)の鍵を握る経済活動の土台となって、顧客体験(CX)に大きなインパクトを与えるパワーがあります。
今はLINEアプリを開いてもらえる回数をいかに増やせるかを目標にしています。簡単にブロックされてしまいがちなLINE公式アカウントを「単なる広告」に終わらせず、双方向のインタラクティブなツールとして運用する方法を企画しています。LINEをみんながいつも手元で開いている存在にして、新しい行動様式をつくり、世界を変えていきたいと考えています。
LINEはスピード感にあふれる企業です。そのなかでも異動の回数は多い方で、「飯田、ちょっと行ってみて!」と、新しい仕事に挑戦する機会をたくさんいただきました。職場は9割が中途採用です。固定化された会社の色はなく、プロジェクトごとにチームを編成して独自の色をつくっていきます。意外とプロジェクトメンバーのなかで文系が7割程度と、オンラインスキルそのものより、「ツールを使って何を解決したいのか」、「社会をどう変えていきたいのか」が重要視されています。
新しいことへのチャレンジ精神は、学生時代に培われました。高校時代は陸上部一色だったこともあり「やるべきことが明確」でした。それに比べ、大学に入ってからは自由になったことで、何をやって良いのか分からず、これまで触れてこなかったものに触れてみようと考えました。4年間で20か国を旅行してアートやオーケストラを鑑賞したり、大量に本を読んだり、とにかくなんでもやってみようという気持ちでした。大学時代、フランスの友人の家庭に泊まらせてもらったときに、普段からコース料理のように家庭料理がサーブされたことはとても印象に残っています。
大学4年間は生きていくなかで「やることが決まっていない4年間」です。何に使っても良い時間がたっぷりあります。動いてみると世界が見えてきます。まずは動いて、やったことがないものを試してみてください。