震災をきっかけにUターン就職
健康の次に大切なお金の面から
地元の人々を支える喜び
株式会社 岩手銀行
Daiki Kawahata川畑 大樹さん
大学ではライフデザイン学部で、人がよりよく生きるための学問として健康科学や生活支援などを学びました。就職活動を通じ、健康の次に生きるために大事な現実がお金の問題ではないかと考えた結果、金融を選択しました。
金融機関は、個人や企業にお金を貸したり預かったお金を運用して還元したりすることによって、人々の暮らしを豊かにしていきます。また、業務を通じていろいろな業界の人たちと関わることができます。人生にとって、また社会にとってなくてはならないものの悩みを聞き、解決できる人を目指したいと考えました。
実は関東地方にある企業に複数の内定をいただいていたため、どこにするかぎりぎりまで迷いました。最終的に地元の金融を選んだ理由には、3年生のときに発生した東日本大震災の影響もありました。出身地の岩手県は津波災害で壊滅的な被害となった地域も多く、「地元の再建に少しでも貢献でき、地元を側面から支えることができればやりがいも大きくなる」と思いUターン就職を決めました。
最初に配属されたのは銀行の窓口業務でした。まずはお金の出入口から学びました。入社直後は、少しでもお客様の役に立てることを考え、ATM前の雪かきをしたこともありました。
3年目に初の支店異動を経験しました。その支店ではお客様に対して投資信託や保険運用を案内する営業を担当しました。目標達成に向け、「まずは質より量だ」と考え、訪問件数を増やし積極的にセールスしました。頑張りが成果につながり達成感も味わっていたころ、新しい商品を勧めるためお客様を訪ねたところ、「ちゃんと理解して持ってこないと」とお叱りを受け、他の金融機関に変更されてしまいました。量を意識するあまり、準備が疎かになってしまったためです。「熱意だけではなく、お客様によって提案方法を検討したり、下調べしたりと事前準備の重要性」を痛感しました。
その後、中小規模の企業様への融資担当になり、震災からの再建を目指す方など多くの事業主様を支援しました。お客様の思いやスケジュールに合わせ、「市場調査」、「計画作成」、「土地探し」、「業者の選定」と、開業まで伴走します。地元で医院を開きたいと相談を受けたお医者様からは「やっと釜石で開院の夢が実現したよ」と声をかけていただきました。個人的な家の建築まで相談してくださり、仕事や生活をまるごと支援するやりがいを実感しました。
7年目に現在の支店へ異動してきました。いまでは法人の融資担当となり、お客様へ支援する内容も幅広くなりました。「経営計画」、「人材確保や育成」、「情報セキュリティ」など、経営上の課題を掘り下げ、ふさわしい外部サービスを紹介します。コロナ禍の影響を受けた企業も多く、一緒になって打開策を考えます。経営が悪化したお客様にはスピード感をもって対応する必要があり、難しさも感じました。それでも経営者の皆様とのつきあいはとても深く、後継者に悩む独身の経営者から結婚相談まで受けたこともあります。
これまで岩手県の山田町と釜石市の2か所の被災地でご支援の経験ができました。地方では今後さらに少子高齢化が進みます。そのなかで地元に店を構え、地元で事業を続けたいという事業主様の思いをさまざまな形で支援できたらと考えています。行く先々で地域特有の水かけ祭りなどの行事に参加して、地域から元気をもらったりもしています。
大学在学中は野球部に所属していましたが、就職活動も部活も全力で取り組みたかったので、朝活などで時間を作っていました。興味のあるものに集中し、ぎりぎりまで粘り強く頑張る力は部活で鍛えられたかもしれません。
野球は今もクラブチームで都市対抗野球出場を目指して継続しています。好きなことを全力でプレーすることによって、いろいろな可能性が見えてくるのです。
就職活動のころを振り返ると、周りが活動を始めたり内定が出だしたりすると焦ってしまう気持ちが理解できます。しかし、他人と比べるのはやめて、自分が何にやりがいを感じるのかを観察し、やりたいと感じるものを目一杯探してください。