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Yell For You 大先輩からのエール

広く各界で存在感を放つ大先輩から、
社会人1年目の皆さんにエールが届きました。
今だからこそ伝えたい思いを語っていただきました。

困難な状況だからこそ、自分の原点に立ち返り、やるべきことを粘り強く見つめてほしい。

小野 忠史さん
株式会社ガンバ大阪 
代表取締役社長 
経営学部 商学科卒
小野 忠史さん
小野 忠史さん

高校、大学、社会人と野球を続け、高校では全国制覇、オリンピックの代表候補にも選ばれるなど、私の青春は野球とともにありました。その中で得たあきらめない気持ち、逆境を乗り越え、結果を出した自身が今の私の基礎にあります。大学卒業後は、東洋大学から松下電器(現パナソニック)へ。私が第一号だったのですが、学閥や学歴を超えて、その後の東洋→松下をつなげる先駆者になることができました。
野球引退後は、昨年3月まで本社の営業として数々の大きなビジネスに関わってきました。例えばEV自動車の黎明期に、車載部品の開発を自動車メーカーと共同で行い、グローバル市場におけるパナソニックのシェア拡大に従事。統括部長として300億のビジネスを1600億まで広げました。その時も心掛けていたのは、ネバーギブアップの精神。企業のフロントである営業があきらめたら、ビジネスは広がりません。商機を見据え行動し、普段から築いてきた人脈を生かしながら、広く可能性を追求する。頭は冷静に、されど気持ちは熱く、あきらめずに振る舞っていれば拓ける道が必ずあるというのは、スポーツもビジネスも同じだと思います。部下にも自分の成功体験をまじえ、単なる精神論にとどまらない「あきらめない気持ち」を伝えてきたつもりです。
そんな私が、ガンバ大阪の社長になったのは今年の4月。サッカーに関しては素人同然でした。しかし辞令が出て初めてJリーグを生で観戦した時、サポーターの圧倒的な盛り上がりに「なんだこれは…!」と鳥肌が立ちました。ガンバ大阪はJリーグ有数の人気クラブ。長い歴史もあり、経営の長である社長の責任は重大です。しかし今、コロナ禍でクラブ運営が大変難しい状況にあります。そんな中でも100を超えるパートナー企業の皆様が「一緒にがんばろう」と言ってくださり本当に感謝しています。周りからは「大変な時に社長になったな」と言われますが、まったく気にしていません。苦しんでいるのはどこも同じ。それどころか社会を元気にする仕事に携わっているのだから、こんなに大きなやりがいはありません。とにかく今はパートナー、自治体、サポーター、選手、そして我々スタッフが、心をひとつにしてこの難局を乗り切る、そのための雰囲気をつくることが社長の仕事だと思っています。
この春、新社会人になった皆さんに伝えたいのは、自分自身の夢・希望を持ち続けてほしいということ。研修がない、上司に会えないなど、困難な状況は多々あると思いますが、今こそやりたい夢、その会社を選んだ理由など、原点に立ち返って、やるべきことを見つける期間にしてください。ガンバ大阪でもWEBを通じた様々な企画、メッセージを発信するなど、今しかできないことを考え、積極的に取り組んでいます。この状況が一生続くわけではありません。だからこそ今をどのように生きるかで今後が変わってくると思って、挑戦し続けてほしいと思います。一緒にがんばりましょう!

動かなくていい時代だからこそ、動くことが武器になる。失敗をおそれずに等身大でがんばってください。

山下 信さん
元NHKアナウンサー 
「NHKラジオ深夜便」担当 
社会学部 メディアコミュニケーション学科 
非常勤講師
山下 信さん
山下 信さん

新型コロナウイルスの流行は、、日本だけでなく世界をゆるがしています。その中でメディア、特にNHKにおいても様々なチャレンジを続けています。子ども達には学習教材、大人には過去のアーカイブから時代を見つめる番組、家の中でもできる体操、過去の大河ドラマを演者か解説する番組など、今だからできるユニークなコンテンツを、テレビでだけでなくホームページでも配信し、“テレビとネットの融合”が、今回を機にさらに加速化した印象です。
一方でテレビの人間としては、情報の仕入れ先がネットに偏ることへの不安があります。好きな情報だけにアクセスしていると、情報リテラシーを失います。さらにソーシャルディスタンスで、コミュニケーションそのものが疎遠になり、より一層言葉を奪う可能性があります。外からの情報を失った人間は、ともすれば偏見、ヘイトのような感情をもってしまうことがあり、とても危惧しています。
それを防ぐには、ネット以外からも情報を得ることです。テレビ、新聞などネット以外のメディアはもちろん、自分から現地で人に会い、感じたことを大切にして欲しいのです。例えば今年、NHKの新人アナウンサーもリモートで研修を受けました。スキル的には次第点ながらも、ハートの部分がまだまだこれからです。単純に原稿を読み上げるのではなく、内容を理解した上で口に出さないと、やはり視聴者の皆さんには届きません。かつて私も新人時代にある先輩から「お前の言葉は軽い」と言われました。下調べもせず、ただ目の前のことを言葉にしているだけということを見抜かれたのです。その時、やっぱり生の本物から響く部分を取材してこないと、自分の言葉も響かないということがわかりました。今はコミュニケーションをしなくても通用する時代。だからこそあえて積極的にコミュニケーションをとってみる!動かなくていい時代だからこそ、動いて得たものが糧になる!そんな風に考えて、行動してみてはいかがでしょうか(もちろん感染防止対策はしっかりと!)。
卒業式や入社式という明確な区切りのないまま突入した社会人生活。多くの戸惑いがあると思います。そんな皆さんに私から送りたい言葉、それは「等身大」。人間誰しも自分をよく見せたいもの。でも“ムリな背伸び”はすぐにバレるんですね。いつも謙虚に、素直に、目の前のことを一生懸命取り組むことが、結果的に成長の近道だと思います。社会に出ると失敗はつきもの。むしろ失敗しないと次のステップには進めません。私もかつてそうでしたし今でも生放送で失敗しています(笑)。いろんな先輩が、そうやって成長してきました。コロナがあったから自分の人生がうまくいかなかった、なんて思いたくありませんよね。状況はみんな同じです。恐れず自分からぶつかって、失敗し、それを糧に次に進むしかありません。おそらくいつの時代も変わらないことのような気がします。

若者がカオスを歩むとき、次の時代が生まれる。あなたもその一人です。

遠藤 順一さん
小学校勤務 
文学部 教育学科卒
遠藤 順一さん
遠藤 順一さん

昨年、法務省小田原少年院時代に矯正教育「非行少年の更生」に尽力したこと、福島少年鑑別所時代には東日本大震災後には「講座、復興:福島」等を立ち上げたことにたいして、瑞宝単光章を受賞しました。推挙の知らせを受けた時はとても驚き、僥倖という他ありません。
少年院は家庭裁判所の決定を受け、矯正教育を実践する教育機関(施設)です。非行性の除去に着眼した更生プログラムと教科教育、情操教育、特別活動、生活指導、職業訓練等により社会復帰を助けます。一方、少年鑑別所は概ね4週間の間に、非行事実とその態様の調査を行い、正確、発達状況、生育状況、知能検査等を重ね少年の人格像に迫り、家庭裁判所に処遇意見を具申します。これら少年の更生に関する様々な業務の中で、東日本大震災以降は福島県の現状を示す各資料を準備しました。「こんなことをしている場合じゃない」という“気づきの場”を提供し、その継続を評価いただいたのだと思います。
私は、どんな時でも若者の力を信じています。いま新型コロナウィルスで様々な若者、東洋大学の学生、卒業生も含め、混乱していると聞きます。しかし歴史の歩みはカオスの連続。例えばベルリンの壁は、1989年に東ドイツの若者達の手で破壊されました。先鋭的な変革をもたらすのは、いつも若者達です。あなたにもその力があると信じています。