INTERVIEWEE
山之内 佑成
YAMANOUCHI Yusei
東洋大学国際観光学部国際観光学科 4年。2025年度東洋大学サッカー部(男子部門)キャプテン。ポジションはディフェンダー(サイドバック)。中学生ではJFAアカデミー福島U-15、高校生ではJFAアカデミー福島U-18に所属。 柏レイソルの特別指定選手として2025シーズンにJ1デビュー。2026シーズンより柏レイソル正式加入。
天皇杯でJ1チームを破り、 総理大臣杯で初優勝を飾った東洋大学サッカー部

──この1年は山之内選手にとってどのような年でしたか。
成長を実感できたシーズンでした。2024年の年末から右足首と右ハムストリングを続けて故障し、 歯がゆい思いをしつつ半年近くリハビリを行いました。5月末にやっとピッチに復帰することができ、そこからは天皇杯、総理大臣杯、柏レイソルでのJ1デビューと試合など、短期間に多くの成長の機会が凝縮された日々でしたね。
──天皇杯では、ご自身の内定先である柏レイソルを含むJ1チームを2連続で撃破。SNSをはじめ多くの人から大きく注目が集まりました。
故障から復帰したての柏レイソル戦については、リハビリ段階から「今後加入するチームに向けて、自分の価値を証明する試合にしたい」という強い思いがありました。チーム全体としても、全員が勝利だけを見据えて準備が出来ており、J1の格上チームが相手ということでモチベーションが高まっていました。今後の人生にも影響を与えるような重要な試合だという認識を全員で共有できていました。
試合ではチームとして自分たちが持っている力以上のパフォーマンスを発揮できましたし、個人としてもJ1の選手に怯むことなく、いろいろとチャレンジできました。プレー中に相手を見て「やっぱり上手いな」と感じたり驚いたりする場面もありましたが、冷静さを保ち、逆に相手からたくさんのことを吸収できたと思います。
結果、柏レイソル戦・アルビレックス新潟戦の両方で勝利をおさめられたことは、チームにとっても自分にとっても大きな自信につながる出来事でした。天皇杯が終わると、チーム全体に自然と前向きな雰囲気が漂っていました。この勝利がなければ、総理大臣杯での優勝もなかったかもしれません。
──続く総理大臣杯では、東洋大学サッカー部が初優勝を飾りました。
東洋大学として初めての総理大臣杯での優勝は、素直に嬉しかったです。特に、準決勝の駒澤大学戦が優勝への大きな分岐点になったと感じます。この試合はなかなか点が入らず、焦りもありました。一方で、ここから勝つためには何をするべきかとチームのことを最優先に考え、どのポジションでも自分の役割を徹底することを意識していました。おかげで最終的には勝利をおさめることができ、チーム全体としての成長にもつながったのではないかと思います。自分たちの代は周りから「強い代」だと言われることが少なかったのですが、こうして結果で実力を証明できたことが嬉しく、安心しました。
J1デビュー。ピッチに立ち、実感した 大学サッカーとの「大きな差」

──柏レイソルの特別指定選手として、初めてJ1のピッチに立った時の心境はいかがでしたか。
とても緊張していて、実はよく覚えていません。後半の途中から出場し、試合はチームがリードしている状況だったので、攻め急ぐのではなく、自分の強みであるフィジカルを活かしてボールを保持している時間を増やすことを意識していました。ゲーム中はずっと集中していて、終わってから「おめでとう」「よくやった」などと声をかけてもらい、やっと「ああ、デビューできたんだ」と我に返るような感覚でした。
実際にJ1の舞台に立って感じた大学サッカーとの違いは、やはり技術やクオリティの高さです。例えば、ピッチが濡れていてコントロールが難しい状況でもプロ選手はそうそうミスをしません。また、パスの一つひとつにもメッセージが込められており、受けた選手もそのメッセージを汲み取っていて、レベルの高さを実感しました。上を目指すためには大学でもプロの基準に合わせてプレーしなければならない、まずは自分が率先してその技術を持ち帰り、チームに還元したい、と思いました。
──ストイックな山之内選手ですが、キャプテンとして心がけていることはありますか?
試合中、たとえ劣勢であっても、自分が先頭に立って「プレーで示す」ということを心がけています。積極的に声を出してチームを鼓舞するよりも、自分がプレーに集中している姿をチームに見せ、引っ張るタイプですね。一人で行動することが多いので、もしかしたら少し怖がられているかもしれません(笑)。練習後には、よく井上監督とマンツーマンで戦術やチームの方針について話しあい、時には意見をぶつけあうこともありました。
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──大学で一番成長したと感じる部分を教えてください。
すぐに答えを求めずに自分でじっくり考えてプレーすることです。これは、大学での4年間、井上監督から繰り返し指導されてきたことです。本質に迫って深く考える、という東洋大学の精神にも通ずるものがありますね。高校でももちろん考えたうえでのプレーが求められていましたが、大学からはさらに考えなければならないことの幅が広がったと感じます。フォームから食事や筋トレ、生活リズムまで、サッカーについても私生活についてもよく考えを巡らせ、アイデアを実行に移しました。成功も失敗もありましたが、周りから意見をもらい、うまく試行錯誤を重ねられたと思います。その過程で、人はそれぞれ物事の捉え方が違い、さまざまな意見を聞いたうえで自分が必要とするものを吸収することが大切なのだと学びました。
部内には、1、2個上の先輩や自分の近くのポジションからプロの道へ進んだ人が多かったので、学ぶことがたくさんありました。一緒にサッカーをする中でアイデアやポジショニングなどさまざまなことを学べたことはもちろん、日常会話一つとっても普段何を考えてプレーしているかなど自分にはない視点を知ることができました。
──今後の目標をお聞かせください。
柏レイソルで、プレーやアシストを通してタイトル獲得に貢献したいです。
──東洋大学サッカー部の後輩たちにはどのようなことを期待しますか。
実は、東洋大学はまだリーグ優勝を果たしたことが無いので、ぜひ達成してほしいと思います。また、2024年度に優勝を果たしたインカレでのリベンジにも期待しています。今後メンバーも、チームの雰囲気も、チームとしてのサッカーも変わっていくと思いますが、天皇杯、インカレ、総理大臣杯優勝などを知っている選手が多いので、そこで得た経験を武器にして戦っていけるはずです。
キャプテンを務めて感じたのは、一人一人がチームの勝利のために何が必要かを考えて動けば、おのずと結果はついてくるということ。チーム全員の想いが同じ方向を向いていれば限りなく大きなエネルギーが生まれ、良い結果につなげることができると思います。応援しています。