井上円了の教育理念

- ページ: 68
- 席し、終了後に討論会を開いて、教師と学生の双方の意見を明らかにして、改善策を探っ たのである。
また、井上円了は学生に偏見を持たないようにと指導していた。授業の中で仏教家を例
に 取 り 上 げ て、 「すべてのことを仏教で解決できる」という独断的な風潮があることを指
摘し、このように他の説はことごとく顧みるに足らないというのは狭量な偏見にすぎない
として、広い視野からのものの見方、考え方を学ぶように注意したという。
彼は新しいことを積極的に学ぶ姿勢も大事にしていた。当時は進化論はまだ新しい思想 に招いて、自らも学生とともに講義を聴いたりした。
であったので、盛んに論じられていたが、彼は欧米留学で勉強してきたばかりの人を講師
このように教師と学生がともに交わり、 教育の場で互いの人間性を尊重し合うことを 「私 精神を実現していたのである。
塾の精神」という。井上円了は思想錬磨の術として哲学を基本とした教育によって、この
64
- ▲TOP