井上円了の教育理念

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- 日本主義︵表面︶ 図 1 日本主義と宇宙主義 宗 教
となっていれば、西洋の文物の「消化の輸入」が可能とな
り、日本的なものに変成して取り入れることができる。し
たがって、日本の独立は維持することができる。
井上円了は外遊で得た結論をこのようにまとめ、哲学館
言 語 哲 学
歴 史
は将来「日本大学」に発展し、言語・歴史・宗教を一体完
全なものとした教育を行い、それによって日本の独立維持
の役割を果たすことを目的とすると述べている。
しかし、彼は、この目的は「表面の目的」であって、裏
宇宙主義︵裏面︶
面においてはもう一つ大きな目的がある、という。彼はそ
れを「宇宙主義」と名づけた。
日本人といえば外国人と区別があるが、単に人間という観点からすれば、地球上いかな
る国の人間も変わりがない。また、さらに大きな観点に立てば、人間も植物も「宇宙の一
物」にすぎないのである。彼の「宇宙主義」とは、そのような観点を持つことである。そ
して、それがなければ、理学も哲学も成立しないということになる。
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