井上円了の教育理念

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- 誌や新聞にも発表した。
新島襄は、井上円了の大学設立の趣旨に対して、賛同の手紙を送ってきている。新島は
明治二十一年十一月に「同志社大学設立の旨意」を発表、その方針は「国を維持するは、
決して二三英雄の力にあらず、実に一国を組織する教育あり、知識あり、品行ある人民の
力によらざるべからず。これらの人民は一国の良心ともいうべき人々なり」という言葉に
表わされていて、 キリスト教主義に立脚した人材養成を目指していた。新島は手紙の中で、
民間において大学設立を計画する人は少ないが、自分はその必要を感じて実行しようとし
ているところなので、ことさらに井上円了の趣旨には賛成であると述べている。そして、 希望をつけ加えている。
Ⅰ 教育理念の形成過程
なるべくならば「コスモポリタン、ユニヴァルシティー」の大学を設立されるようにと、
国家の独立
井上円了は演説の中で「学問の独立」といっている。これはこのころ、私立学校の創立
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者たちによって、盛んに提唱されたことであり、慶応も早稲田も同志社も「独立」 「自立」
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