井上円了の教育理念

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- みな「独立の精神」を持っているということであった。つまり、学問、事業、組織、風習、 いうことである。
宗教などに、アメリカにはアメリカ風の、イギリスにはイギリス風の固有なものがあると
これに対して、日本は欧米のものを取り入れ、日本固有のものを捨てる傾向がある。彼
は、日本の独立を維持するためには、こうした傾向を変えて、日本固有の言語、宗教、歴
史、 およびその他日本固有の風俗習慣を改良保存しなければならないという結論に達した。
哲学館の新校舎
帰国した井上円了はこのような考えをいかし、 哲学館の改良、 大学設立の計画をもって、 館の独立」として述べていたことである。
校舎の建築にとりかかった。この建築は、彼が明治二十年の開館式の演説において「哲学
哲学館は開館一年後には、学生数の増加に伴って麟祥院境内に校舎として一棟を借りて
いたが、国会開設前夜ともいうべきこのころは社会情勢が不安定だったことなどから、学
生数はやや減少傾向にあったものの館内員二百余名、館外員も九百名以上になっており、
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