井上円了の教育理念

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- ばれる学生も現れたということである。
また、ある講義では、むずかしいカントの哲学を一番はじめに教えたとか、学生に「客
観とはどういう字ですか」と日本語を尋ねられた教師が「それはオブジェクトです」と英
語で答えたという、笑い話のようなエピソードも残っている。
初期の授業は教師と学生の間に混乱があり、不完全なものであったが、どちらも情熱に 究という点では非常に優れたものがあった。
あふれていたので、実に活気に満ちていた。また、学問に対する態度は真剣で、自由な研
❸ 哲学館の改良
Ⅰ 教育理念の形成過程
海外視察旅行
明治時代には、政府でも民間でも、西洋先進諸国の知見・知識を学ぶための視察外遊が
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盛んに行われていた。私立学校の創立者にも外遊や留学の経験を持つ人は少なくない。慶
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