井上円了の教育理念

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- 目 的 を、 「国家の須要に応ずる学術技芸を教授しおよびその蘊奥(うんのう)を攻究する」 国家のための学校であることをはっきりと規定した。
こと、つまり国家になくてはならない人材を養成し、その研究を発展させることに置き、
帝国大学は、国家の手によってつくられたエリート養成機関で、政府からいろいろな優
遇措置を受けていた。卒業生には医師、弁護士、中等教員、高等教員ほか、さまざまな職
業の資格や免許が、卒業と同時に無試験で与えられた。例えば、明治二十年から高等文官 ても高級官僚の地位が保証されていた。
試験制度がはじまったが、帝国大学法科大学(現在の法学部)卒業生はこの試験を受けなく
帝国大学令で打ち出された高等教育における官学中心主義の政策は、その後の高等教育 を及ぼしている。
の発達を根本的に規定し、官学と私学という格差のある二重構造を生み、現在にまで影響
私立学校の誕生
「哲学館開設ノ旨趣」の発表からひと月あまりたった明治二十年七月二十二日、井上円
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