井上円了の教育理念

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- 載され、彼の意図を広く一般に訴える役割を果たした。
多く の後援者
て井上円了はこういっている。
哲学館創立において忘れてならないのは、賛同者・後援者の存在であるが、それについ
「はじめ哲学館を創立したときには、もとより無資本で、またほかから扶助保護を受け
ることもなく、すべて有志の寄付によって創立費をまかないました。当時本館の旨趣に賛 十人で設立したものといってよいわけです」
Ⅰ 教育理念の形成過程
成して多少の寄付をしてくれた人は二百八十人ありました。したがって、哲学館は二百八
哲学館の経済的基盤は、一部の有力者に頼るのではなく、多くの人から寄せられたわず かずつの寄付金によってつくられたのである。
そういう人々の中に加藤弘之と寺田福寿の名がある。加藤弘之は日本にはじめて立憲思
想を紹介した人で、進化論を中心にした政治哲学を展開し、また明治十四年に東京大学初
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代総理となった。哲学館創立にあたっては顧問となり、 以後哲学館の発展を見守り続けた。
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