井上円了の教育理念

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- の人々であり、その周辺で機器や材料を生産し続けている人々であり、医療を維持し福祉を機能
させ、生活を成り立たせることに貢献しているすべての人々の姿に重なります。人間としてでき
る限りの努力をする姿を見て、自らもそのように生きたい、と感じた人も多くいると思います。
さらには、自粛生活をしながら授業を受けるという学生としての努力も、自己及び他者を感染か
ら 守 る た め の 奮 闘 と 言 え ま し ょ う。 こ う し た 生 き 方 は、 『 学 校 法 人 東 洋 大 学 の 中 期 計 画( TOYO に自己を磨く―」にも通じるものです。
GRAND DESIGN 2020-2024) 』に示された目標である「地球社会の明るい未来を拓く―他者のため
第二に、 「正しく恐れる」という言葉が人口に膾炙しましたが、この言葉の意味するところは、
円了先生が『妖怪学講義』や亡くなる三か月前に刊行された『真怪』において述べられたものの
考え方と極めてよく似ているということです。人々が恐れている怪しい事象のほとんどは科学的 いこともあり、それこそが「真怪」であるというお話です。
に説明がつくものであり、それらに惑わされる必要はない、しかし、それでも簡単に解明できな
マスコミやネット上に拡散されている情報の中には、一面的なデータや根拠のない話の引用、
感情的なコメントが多数含まれています。その中から、 「正しい情報」を選びとり、冷静に対処
するには、何が正しいかを見抜く力がなければなりませんから、科学的な洞察という努力はもち
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