井上円了の教育理念

- ページ: 22
- る認識や哲学会設立の目的を示している。彼は哲学の本質について「それ哲学は通常理論
と応用との二科に分つも、要するに理論の学にして、思想の法則事物の原理を究明する学 書いている。
なり。ゆえに思想の及ぶところ事物の存するところ、一として哲学に関せざるはなし」と
そして、つぎの三点を強調している。第一に、哲学が諸学の基礎であること。第二に、
哲学を研究・普及させることが国家の文明を発展させるためには不可欠であること。第三
に、西洋哲学の研究に加えて東洋哲学の研究が必要であり、哲学の研究は究極的には日本
の文明開化を進め、富強を助けるものであるとしている。
哲学会の設立は、 哲学を重視した井上円了が、 その普及のために行動した一例であるが、
彼は同様の意図で盛んに著述活動もした。 学生時代から雑誌に論文などを発表していたが、
(のち「真理金針」として単行本となる)や「哲学要領」 特 に「 耶 蘇 教 を 排 す る は 理 論 に あ る か 」
などは彼の代表的著作に数えられている。また、 井上円了の 『哲学一夕話』 『仏教活論序論』
によって、哲学への目を開かれた人が非常に多かったという。
18
- ▲TOP