井上円了の教育理念

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- これに続けて今後の大学のあり方を提示している。
「六十年の本学の伝統は、文科大学としてはその内容において実に日本の最高位にある
ことを誇りとするが、近代社会、近代文化においてはひとり文科の諸学科のみによる学問
だけでは偏狭である。われわれの新しい『東洋の学』は、政治・経済さらに理科学系統の
学問を含む総合性をもったものであるべきこともまた当然である。 するところのものでなければならない。 」
新しき日本を造るには新しき学問の樹立が要請される。これこそわが東洋大学の理想と
すでに見たように、戦前の「大学令」によって東洋大学は国家からの強い統制を受けて
Ⅳ 新しい教育理念を求めて
いたが、新制大学となってこの統制もなくなっていた。この文書は戦後の新日本の建設と
いう緊急事態に対応して、東洋大学が新学部を設けて、時代にふさわしい教育体制の確立
を目指すという宣言であった。それはまた総合大学への道でもあった。
総合大学を めざして
昭和二十四年に東洋大学は、新制大学として再発足した。戦前からの学部学科は文学部
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