井上円了の教育理念

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- 応用に結びつけてくれることを期待していたのである。
開放的な教育手段
井上円了の教育活動は学校教育と社会教育とからなっていたが、学校教育では、人材養
成という観点から、一貫性のある教育システムを目指し、哲学館を頂点として京北中学校
と京北幼稚園を設立した。しかし、小学校は設立されず、システムは完成しなかった。一 社会教育を行った。
方、学校以外に教育の場を求めるため、自ら民衆の中に入って行き、修身教会運動という
彼の教育活動は開放的であって、 民衆の教育のためにさまざまな機会と手段を利用した。
Ⅲ 井上円了の教育理念
そこでは現実の可能性を検討したうえで、目的達成のための手段については柔軟に対応し
た。例えば、哲学書院における出版事業、講義録による通信教育、市民のための日曜講義 などの設置も考えていた。
などがあり、また実現はされなかったものの、正規の学校とは異なる簡易中学や変則中学
教育手段の開放性の例として、芸術の活用も挙げられる。しかも、それを日露戦争の最
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