井上円了の教育理念

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- 面は真宗であっても、その裏面には「純正哲学」に通ずる合理性を持った大乗仏教の精神 に常に流れていた。
が基礎にあったとみることができる。そして「開放主義」の原則は、彼の教育理念の根底
井上円了の人生と信仰をテーマとした研究者の一人は、つぎのように述べている。
「井上円了は全国各地で修身教会の結成を呼びかけて、全国巡講を行っているが、各地
の支部を結合させて権力構造をもった全国的組織へ発展させるという方針は最初からもっ
ていなかった。近代的組織論とは異なる点に、その特徴があり、教会の支部は実は仏教の
サンガ(共同体)であったと考えられる。そして、それをつぎつぎと巡講する彼の活動は釈
迦が説法をして歩いた形態と同じととらえられるので、その意味では井上円了の修身教会
Ⅲ 井上円了の教育理念
運動の根本精神は〝心を残して名を残さず〟という言葉で表すことができる。この言葉は
哲学館創立以来の彼の行為をも象徴しているともいえる」
日本人 の改良
これまで井上円了の教育に関するさまざまな活動と、そこに表れた思想について時間的
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